お酒を飲みすぎた翌日は、眠気に襲われることが多い。ひどいときは一日使いものにならないなんてことも……。二日酔いからくる睡魔を撃退する方法はあるのか? 賢い酒との付き合い方とともに、肝臓専門医が指南する――。

酒だけでなく、ソフトドリンクも飲む

お酒好きの人は経験したことがあるでしょうが、酔った状態で寝ると夜中に何度も目が覚めることがあります。

これはアルコールやその代謝によって発生するアセトアルデヒドによって睡眠の質が変わり、途中覚醒が起きやすくなるからです。だいたい4時間ほどで深い眠りから覚め、それからあとは眠れなくなるか、浅い眠りが続きます。

また、アルコールの利尿作用でトイレに行きたくなり、喉が渇いて水を飲みたくなることでも目が覚めます。お酒を飲んだらたくさん水を飲むのはいいことで、脱水症状を防ぐうえでも、肝臓のアルコール分解を助けるうえでも効果的です。しかし水を飲むとトイレも近くなり目が覚めやすいというジレンマがある。たびたび目が覚めれば、深い眠りに入りにくくなり、休息が妨げられます。

私自身も若い頃にはよく二日酔いを経験しましたが、最近は“二日酔いにならない飲み方”を意識しているのでほとんどなくなりました。

二日酔いの防止法というのは、特別な秘訣などなく、自分の適量を知ること、つまり肝臓が分解できるアルコールの量を知ることに尽きます。肝臓の機能に個人差はありますが、ひとつの目安は図表に示すとおり、体重が70キロの人が1時間に分解できる純アルコール量は7グラムです。ビールの中瓶でいえば3分の1程度と、かなり少ない量です。

これは純アルコール(エタノール)の量ですから、お酒の種類とは無関係です。よく聞く「ゆうべはチャンポンだったから悪酔いした」という話は、医学的な根拠はありません。たとえば、はじめにビールを飲み、酎ハイ、ウイスキーとお酒の種類が変わるうちに、つい飲みすぎてアルコールの摂取量が増えるためだと考えられます。二日酔いにならないコツは、摂取するアルコールの絶対量を減らすこと。同じ量のアルコールを摂取するなら、できるだけ時間をかけることだといえます。

ダラダラ続く飲み会は、深酒しがちな状況の代表でしょう。私はそういう飲み会では、途中でウーロン茶などのソフトドリンクに切り替えてインターバルを置くようにしています。乾杯からソフトドリンクでは、周りの人が「どうかしたの?」などと気にしますが、少しアルコールがまわった頃合いならさほど目立ちません。