高カロリー食で、血糖値を上げる

アルコールの分解を助けるという意味では、ソフトドリンクよりも水を飲むほうが効果的です。日本酒でいえば、お酒の量と同じぐらいの水を飲むといい。ただし、飲みながら何を食べているかも重要です。お酒を飲むと塩辛いものを美味しく感じるので、つまみで塩分を摂りすぎた場合は、さらに多くの水分が必要になります。

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二日酔いの日は、強い眠気に襲われることがあります。これは先ほど説明した睡眠不足に加え、血糖値の低下が原因の場合も少なくありません。最近よくいわれる「血糖値スパイク」です。お酒を飲みすぎると肝臓がアルコールの分解にかかりきりになり、糖分をつくりだせなくなります。それで血糖値が下がると、脳の活動が低下してダルさや眠気をともなうなど二日酔いの症状が出てきます。ですから食欲はなくても、水分と一緒に炭水化物を多く含む、カロリーの高い食事をしっかり食べることで、血糖値が上がり眠気を抑えられることがあります。

ウコン、栄養ドリンクは効く? 効かない?

本来は水分を充分に摂って眠るのが一番いい対処法です。しかし出社すればそうもいかないので、コーヒーやエナジードリンクでカフェインを摂って眠気を覚ます人も多いでしょう。個人差はあるものの、手っ取り早く眠気を覚ますにはカフェインはたしかに有効です。しかし、本来は眠りたがっている脳と肉体を強引に覚醒させるわけですから、脳や肝臓をはじめとする様々な臓器に負担をかけます。将来の健康を考えれば何回も繰り返して使いたい方法ではありません。重要な会議があるなど、やむをえない状況でとる手段だと考えたほうがいいでしょう。

二日酔いになると、ウコンを原料とするサプリメントやスタミナドリンクを飲む方もいます。ウコンがアルコールの分解を助けるかどうかは、実はよくわかっていません。炎症を抑える作用はあるので、頭痛や胃もたれに効くことは考えられます。ただし、ウコンで肝臓を悪くする体質の人たちもいます。生薬など自然のものが原料でも、効き目があるということは副作用もあり、万能なサプリとはいえません。

お酒を飲んで寝ると肝臓がアルコール分解に忙しく、脂肪の分解が抑えられて太りやすくなるなど、健康への悪影響はほかにもあります。やはり、自分の適量を知って飲みすぎないことが一番の対処法なのです。

浅部伸一(あさべ・しんいち)
肝臓専門医
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。東京大学医学部卒業。現在はアッヴィ合同会社所属。監修書に『酒好き医師が教える 最高の飲み方』がある。
(構成=Top Communication 写真=PIXTA)
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