健康で長生きするにはどうすればいいのか。肝臓専門医の浅部伸一さんは「酒飲み、食べすぎ、運動不足が脂肪肝を引き起こす。脂肪肝を放置すると、知らないうちに肝炎、肝硬変、肝臓がんになり命を落とす危険性がある。自覚症状が出てから病院に行っても手遅れになる」という――。

※本稿は、浅部伸一『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』(アスコム)の一部を再編集したものです。

女性の強調表示された青い健康な肝臓のデジタルコンポジット
写真=iStock.com/mi-viri
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肝臓は「生命の最後の砦」である

肝臓の働きは、大きく分けると、次の3つです。

・代謝…体内で起きている「代謝」の大半は、肝臓が担っている
・解毒…いわゆる「デトックス」「毒出し」も、ほぼ肝臓だけが担っている
・胆汁の製造…「胆汁」を作る機能は、肝臓にしかない

肝臓が弱ると、これらの機能が麻痺してしまいます。こうなると、もはや肝臓だけの問題ではありません。生命の維持に直結するレベルの大問題です。

肝臓は実にしぶとい臓器です。腎臓も心臓も血管も、歳をとればどんどん弱っていきますが、肝臓は違います。

ほかの臓器の老化が進んでも、そう簡単にはダメにならないのが肝臓です。さらに、肝臓の特徴のひとつに「再生しやすい」ということが挙げられます。肝臓の細胞は、壊れても再生する力が強いのです。

このように、肝臓は重要な機能をいくつも担っています。ほかの臓器に比べると非常にタフにできていますが、いったん悪くなると、その重要さゆえに命にかかわります。まさに、生命の最後の砦のような臓器なのです。

私たちは肝臓の不調を自分で感じ取ることができない

肝臓は丈夫です。細胞のひとつやふたつに何かあっても、強い再生力で元に戻ります。でも、だからといって安心しないでください。ぜひ知っておいてほしいのは、肝臓は「悪くなっても症状が出にくい」ということです。

体調を崩したとき、「胃の調子が悪くて」「のどが少しヘンな感じ」「なんだかダルい」などと言いますが、「今日は肝臓の調子がイマイチだ」と言う人はいません。たとえ肝臓に問題があっても、それを自覚することがほとんどないからです。