アルブミンには血管の浸透圧を保って、血液を安定化させる働きがあります。そのアルブミンが減ってしまうと、血液が血管の中に保たれなくなり、お腹に水(腹水)がたまったり、むくみが出たりします。

肝硬変は進行の度合いに従ってA・B・Cの3つの段階を踏んでいきますが、B段階まで進むと、このような症状が出てきます。肝硬変の患者さんの実に約半数の人が、このレベルにまで進んでいます。

肝硬変になると、肝臓の解毒力も弱まります。体の中で作られた老廃物であるアンモニアを十分に処理できなくなると、血液中にアンモニアが増えていきます。その血液が脳に影響し、脳に障害が起きることがあります。これは「肝性脳症」といって、肝硬変の合併症のひとつです。

肝性脳症になると、意識がなくなることがあります。血糖値の調節がうまくいかないので、食べたあとで血糖値がぐんと上がり、糖尿病にもなります。

「肝臓がん」に進む前に、肝臓のケアを習慣づけて

命に関わる肝臓の病気はいくつもありますが、言うまでもなく、その最たるものは肝臓がんです。肝臓がんは、いったん治療の効果があっても再発率がとても高い、危険ながんです。

肝臓がんは、原因となる出発点が脂肪肝であろうと、肝炎ウイルスであろうと、あるいは自己免疫疾患であろうと、すべて次のプロセスによって起きます。

浅部伸一『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』(アスコム)
浅部伸一『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』(アスコム)

「肝臓で繰り返される慢性的な炎症」→「肝臓の線維化」→「肝不全(肝臓が機能しなくなった状態)」または「肝臓がん」

健康な肝臓が深刻な病気になるまでには、いくつかの段階を踏んでいきます。進行プロセスをさかのぼると、肝臓がんになる前には、脂肪肝や肝炎という段階を経ています。脂肪肝や肝炎の段階で早期発見し、早期治療を行ない、なんとか肝臓がんになるのを食い止めたい。肥満の人は体重を落とし、いつも飲み過ぎている人はお酒の量を減らしましょう。

肝硬変は薬ですぐに治る病気ではなく、専門医の指導のもとで厳しい食餌療法を行なわなければなりません。できれば脂肪肝の段階でなんとか対処したいところです。私がおすすめしている「12時間肝臓ダイエット」は、肝硬変に至る前の段階の脂肪肝や脂肪肝予備軍の人が自分でできる方法です。

とにかく肝臓に炎症を起こさせないこと。炎症を起こさせないために、生活習慣病としての脂肪肝を予防・改善しましょう。重要な機能をいくつも担う肝臓を大切にケアすることで、全身の健康状態もよくなります。

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