ポルシェジャパン・七五三木敏幸 社長の答え
赤字はサラリーマンの勲章。次に生かすべく、後処理を覚える

手形をなくしたとき、先輩がテキパキ指示

モデル末期で月に10台くらいしか売れないクルマを500台くらい在庫で取ってしまったことがあります。「インセンティブの予算を数億つけるから」みたいな甘い言葉に釣られて。

で、案の定売れない。追加予算をさらに使っても売り切れず、こっちの予算を使って処理しなければならなくなって、結局、十数億円にのぼる大変なお金を使って売り切った。当然ながら1台当たりの収益は大赤字です。

当時ドイツ人の社長から「ボクシンググローブをつけてたら3発は食らわしている」とジョーク交じりに言われた。おかげで長期在庫を抱える怖さを身をもって学びました。

銀行員時代にも大きな失敗をしていて、1度手形をなくしたことがあるんです。次長に打ち明けたら「何! おまえクビだぞ」と。進退窮まったと青くなっていたら、普段は昼行灯のような先輩が見違えるようにテキパキと処理の仕方を指示してくれた。自身の経験から、始末の仕方を誰よりもよく知っていて。

リカバリーショットの打ち方を知っておくのも大事なこと。赤字を出すような失敗は学ぶチャンス、という受け止め方もあると思います。


鈴木 喬
エステー会長
一橋大学卒業後、日本生命入社。エステーに出向し、1998年社長。「消臭力」などヒットを連発。
 


七五三木敏幸
ポルシェジャパン社長
一橋大学卒業。群馬銀行、メルセデス・ベンツ日本、クライスラー日本などを経て現職。
 
(写真=iStock.com)
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