【山中】わかります。若い人から刺激を受けることは多いですね。僕は毎月サンフランシスコに行っていますが、その理由の1つは、サンフランシスコはボストンと並んでライフサイエンスの研究者が集まっているからです。僕よりはるか年下の20~30代のものすごい人たちと話すのは刺激になりますね。

東京・有明のUNIQLOCITY TOKYOで対談する柳井氏と山中氏。共通の趣味のゴルフや村上春樹氏の小説にも論が及び、和やかな雰囲気。

【柳井】僕は個人的に、アメリカの大学へ留学する子に奨学金を出しています。それで日本の高校生と面接するんですが、本当に優秀な子がいるんですよ。ある生徒は大学へ進学する前から、アメリカの大学院の先生と一緒に蚊の研究をしているそうです。すばらしい感性の持ち主はいるんです。

ただ、それを存分に伸ばすためには、広い世界へ出て、異文化の人と過ごすことで、自分は何者なのかということをまず知らなければいけない。留学するかしないかは別として、大事なことは、広い世界や異文化を自分から求めていく姿勢だと思います。

(構成=村上 敬 撮影=若杉憲司 写真=読売新聞、日刊スポーツ/AFLO)

山中教授が所長を務める京大iPS細胞研究所では、安定的な研究環境のため皆様からのご寄付を募っています。1円分からのTポイント寄付も可能です。詳細は「iPS基金」でご検索ください。

▼柳井 正 年表
1949年:山口県宇部市生まれ
1967年:山口県立宇部高校卒業
1971年:早稲田大学政治経済学部を卒業、ジャスコ(現イオン)に入社
1972年:家業の小郡商事に入社
1984年:「ユニクロ」1号店を広島市に開店、社長に就任
1991年:商号を「ファーストリテイリング」に変更
1994年:広島証券取引所に株式を上場
1997年:東京証券取引所2部に株式を上場
1998年:フリースブーム、東京・原宿に首都圏初の都心型店舗を出店
1999年:東京証券取引所1部に指定替え
2000年:東京本部を開設
2001年:初の海外店をロンドンに出店
2002年:玉塚元一氏に社長を譲り、会長に就任
2005年:会長兼社長
2010年:国内初のユニクロのグローバル旗艦店「心斎橋店」をオープン

▼山中伸弥 年表
1962年:大阪市生まれ
1981年:大阪教育大学附属高校天王寺校舎卒業(中高の同級生に世耕弘成経済産業大臣)
1987年:神戸大学医学部を卒業、国立大阪病院に勤務(整形外科)
1989年:大阪市立大学大学院に入学(93年に博士号)
1993年:米国グラッドストーン研究所へ留学、のちのiPS細胞につながる研究を開始
1996年:大阪市立大学薬理学教室助手
1999年:奈良先端科学技術大学院大学助教授
2003年:同教授
2004年:京都大学再生医科学研究所教授
2006年:科学誌「セル」に、マウスのiPS細胞に関する論文を発表
2007年:同誌にヒトiPS細胞に関する論文を発表、注目を集める
2008年:京都大学iPS細胞研究センターセンター長
2010年:京都大学iPS細胞研究所所長
2012年:ノーベル生理学・医学賞受賞 

【関連記事】
トヨタ創業者「1日に10回、手を洗え」
なぜ村上春樹はノーベル賞を取れないのか
なぜ「ブラック企業」と呼ばれるのか――成長にこだわるユニクロ流働き方
潜入取材の達人が暴く"ユニクロ潜入"1年
ノーベル賞学者を支えた「母からの電話」