「中国と韓国に負けるな」という全く意味不明の結論

これは「既存の大手マスメディアで報道されている救済の対象とされるべき事例は、偏向したメディアによる嘘に違いない」という大メディアへの不信、呪詛が大きな背景にある。いみじくも別項の杉田水脈の部分で詳述したように、ネット右翼にとっては「人道主義」=「左翼」として唾棄の対象としたように、ごく簡単に言ってしまえば「NHKは左翼なのだから、そこで報道されるお涙ちょうだいの人道主義は嘘である」という思い込みである。だが女子高生が一見派手に見える生活をしていたからといって「貧困ではない」と断じてしまうのも実に浅はかである(※3)

※3:女子高生の生活と貧困度が比例しない理由/一般的に低所得者は、高価な消費財を買うのが難しいので、小さな消費行動をため込み、消費のフラストレーションを小出しに開放する。すると部屋にモノが溢れるが、パソコンや車、土地や住宅といった高価な耐久消費財や不動産は持っていない。よって、くだんの女子高生の部屋がアニメグッズや小物で溢れているのは、なんら不自然ではないのである。

片山の前掲書の最後は、次のように締めくくられている。

〈私たちも、日本人として、中国や韓国に負けたくないと思うのなら、サッチャーのような強さを子どもたちに教えなければなりません。そのための第一歩が、日本国憲法を改正し、戦後を終わらせることなのです〉

「日本人」による生活保護不正受給への問題提起から始まった「片山理論」は、いつのまにかそれが「外国人」になり、最終的には「在日コリアン」に置き換えられて話が進んでいき、その結果は「中国と韓国に負けるな」という全く意味不明の結論で締めくくられている。

生活保護不正受給の解明は結構だとして、中国と韓国に負けないことと何が関係するのだろうか。どのようにすればこのような思考回路になるのか。東京大学法学部卒、という片山の華麗な学歴に不安を覚える一方で、片山が東大在学中に「ミス東大」に選ばれ、またぞろ女性性を売り物にした青春時代を送っていた(であろう)ことに、私はなにやら薄暗い不気味な男性への追従を感じざるを得ないのである。

片山 さつき参議院議員
1959年生まれ。埼玉県さいたま市出身。前都知事・舛添要一氏の元妻。東京大学法学部卒業後、大蔵省入省。2005年、郵政選挙にて「刺客候補」として出馬(静岡7区)、当選。10年、参院選(比例区)にて当選。2018年10月2日に発足した第4次安倍改造内閣では、唯一の女性閣僚として地方創生担当相に選ばれた。
(写真=EPA/時事通信フォト)
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