新聞やテレビは"大誤報"をほとんど扱わなかった
自分が出ている番組で、「週刊新潮、バカヤロー、この野郎。裏口入学するわけねーだろう」と全否定。
日大関係者には「このクソガキが」といい、「そいつに合わせろよ。俺は逃げも隠れもしない。テレビで公開討論でもやるよ、ウソだって分かってんだから」とまくしたてた。
太田の父はすでに亡くなっている。
父親が、「息子、バカなんです」と話したと関係者の証言が出てくるが、太田は「うちの親父はこんなしゃべり方を他人にするようなことは絶対になかったし、へりくだるような人ではなかった」と反論している。
「俺が有名だってことで、死んだ後まで親父をこんなふうに……情けない」と話し、事務所の社長で妻の光代も「法的措置も辞さない」と息巻いている。
『新潮』は合併号だったから、2週間の沈黙。その間、太田は自分の出ている番組で吠え続けたようだ。
新聞はもちろんのこと、テレビのワイドショーもニュースも、この重大な、太田にいわせると“大誤報”をほとんど扱わなかった。
証言以外に物証はほとんどないのではないか
太田は新潮社から何冊ものベストセラーを出している有力な著者である。会社が間に入って太田側と取引し、編集長名で「わび状」を太田宛に書き、穏便にことを納めるというのは、週刊誌がよくやる手法である。
私が聞くところによると、『新潮』は、日大のアメフト傷害事件を取材する中で、この話が日大関係者から出てきたそうだ。
興味を持った『新潮』編集長は、その頃の当事者から話を聞けと指示し、詳細を聞けたことから掲載に踏み切ったということのようである。
何せ、30年以上も前の話だから、証言以外に物証はほとんどないのではないだろうか。
そのせいか、8月22日に発売された『新潮』(8/30号)は「笑い飛ばせばそれで良かった『爆笑問題 太田光』の日大問題」と、新たな裏付けは示さず、リードでこう書いた。
「本誌が報じた爆笑問題・太田光(53)の日大芸術学部への裏口入学事情。えらい剣幕で報道を否定する場面が生出演のラジオやテレビで繰り返された。世間を斜めに斬り笑いにしてきた人物が『そんなに恥ずかしいこと?』と笑い飛ばせなかったところに違和感が募るのだ」
裏口入学事情? 裏口入学したと断定していたではないか。笑い飛ばせ? それはないだろう。親父が暴力団に近い人物を使って裏口入学させたというのでは、この記事の中でも野末陳平がいっているように、「ふざけんなよ。芸人なんだからなんて枠はない。芸人である前に人なんだ」。
これを読む限り、どうやらこの勝負、太田光の威光に逆らった『新潮』にやや分が悪そうではある。