安倍首相の「原爆の日」に対するこだわりのなさ
安倍首相は、国会などで、野党から「森友」「加計」問題などを追及されると「印象操作だ」「レッテル貼り」と言って反撃することが多い。しかし、被爆者の象徴的存在でもある坪井氏とのツーショットを政治的に利用したとすれば、こちらこそ「印象操作」「レッテル貼り」と言われても仕方ない。
安倍首相は広島、長崎の原爆忌など、過去の戦争の過ちに思いを巡らせる日へのこだわりは淡泊だ。8月9日、長崎の「原爆の日」に行われた式典に参加した際も、あいさつでは核兵器禁止条約について触れなかった。
2014年の8月6日のあいさつは、冒頭文が前年のあいさつとほぼ同じで「コピペだ」と批判されたことは記憶に新しい。これも、安倍首相の「原爆の日」に対するこだわりのなさが根底にある。
そういう姿勢について批判の声は当然、首相官邸にも届いている。9月の自民党総裁選を前に被爆者と寄り添う姿を見せ、リベラル層からも支持を得ようという思惑が6日のSNSでの書き込みにつながったとしても不思議ではない。
ただし、露骨な「印象操作」を続けると、安倍政権を支える保守層から失望される危険もある。岩盤とも言われる保守層は、リベラル層からの批判を受けてもぶれずに信じた道を進む安倍首相の姿を評価しているのだから。中途半端な施策は、むしろ双方の反発を招くだけだろう。