リッチな老後を迎えられる人と、そうでない人。将来の明暗を分けるものはなにか。それはあなたが意識せずに行っている月々の出費や日々の習慣である。今回、4つにテーマにわけて、識者に改善案を示してもらった。第1回は「医療・健康」について――。

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2017年11月13日号)の特集「金持ち老後、ビンボー老後」の記事を再編集したものです。

一生涯に使う医療費の半分は「70歳以降」に使う

人ひとりが一生涯に使う医療費の総額は平均で2522万円(厚生労働省「医療保険に関する基礎資料~平成24年度の医療費等の状況~」)。これは健康保険適用前の金額なので、実際の自己負担額はもっと低く抑えられるが、人が一生に使う医療費はけっこうな金額に及んでいる。

写真=iStock.com/Sean_Kuma

とくに気になるのが高齢期の医療費だ。年齢階級別の医療費は高齢になるほど急増し、生涯医療費の半分は70歳以降に使われる。しかも、ここでカウントしている医療費は、診断や手術、入院、投薬といった病院や診療所、薬局などでかかる「直接医療費」と呼ばれるものだけだ。病気になると、このほかに通院のための交通費、食事療法の費用など「直接非医療費」もかかる。

治療のため仕事を休むと収入が減る可能性も。経済学では、ある行動を選択することによって失われる利益を「機会費用」というが、家計全体への病気の影響は大きい。

高齢期の医療費を押し上げる原因のひとつが若いときからの生活習慣。肥満や高血圧症の人は医療費が高くなる傾向が強い。これらを早期に発見し、生活習慣を見直すことが医療費の削減に繋がるのだ。