まずは押さえたい、所得税の計算方法

2017年12月、2018年度、20年度と家計を直撃する個人向けの税制改正の概要が発表された。第1弾は配偶者控除の変更。そして、第2弾が給与所得控除の見直しだ。

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税理士の野田美和子氏は、今回の改正のポイントについて「現在は給与収入が1000万円を超える人の給与所得控除の上限額は220万円ですが、20年から年収850万円超の上限額が195万円に引き下げられるので増税になります」と指摘する。

実際はどのような影響が出るのか。まず基本的な知識として収入への課税の仕組みを説明しよう。給与などの収入(年収)から「給与所得控除」「所得控除」「税額控除」の3段階を経て納税額が決まっている。給与所得控除とは勤務に必要なスーツや靴などの必要経費のことを指し、会社員は年収に応じて一律の控除額が決められている。年収から「給与所得控除」を差し引いた額を「給与所得」と呼ぶ。

次に個人の事情に応じて給与所得から差し引くものが「所得控除」。給料から天引きで納めている社会保険料や配偶者控除・配偶者特別控除、さらには個人で支払っている生命保険料、医療費など各種の控除を差し引いて「課税所得」が決まる。各種の控除の中には、一律に差し引かれる「基礎控除」も含まれる。

控除を引き、残った課税所得に、金額に応じた税率をかけて税額が算出される。そして最後に、算出された税額からマイホームを購入した人が申告する住宅ローン減税などの「税額控除」を差し引いた額が最終の納税額となる。

課税の仕組みがわかったところでいよいよ本題。今回の改正では「給与所得控除」と「基礎控除」が見直される。給与所得控除では、(1)給与所得控除の額を一律10万円引き下げ、(2)給与所得控除の上限額を見直す――の2つ。給与収入額によって上限額が決まっており、現在は年収1000万円超だと、上限が220万円であるが、改正後は年収850万円超だと、上限195万円に変わる。