給付型と無利子の門戸は、広がる方向
奨学金には返済の義務がない「給付型」と、返済が必要な「貸与型」がある。もっともメジャーな国の奨学金(日本学生支援機構奨学金)は貸与型だったが、2018年の大学入学者から住民税非課税世帯などを対象に給付型を本格導入した。しかし給付額が国公立の自宅生で2万円、最大でも私大の自宅外生で4万円など、そこまで大きくないため、結局、貸与型と併用せざるをえないのが現状だ。
また貸与型には無利子と有利子があり、無利子は高校の成績平均値が5段階で3.5以上などと基準が設けられているが、住民税非課税世帯などについては成績基準が実質撤廃され、門戸が広がった。住民税非課税となる大体の目安が、3人家族で年収が約200万円、4人家族で約250万円。恩恵を受けるのは、おもに経済的にきびしい家庭であり、福祉的側面が強いように思える。
それでは中間層の奨学金はどうなるのか。ヒントとなるのが、18年度から導入された「新所得連動返還型奨学金」である。同じく無利子を対象に、これまでの定額返還から、卒業後の年収に応じて返済月額が調整されるようになった。いわば「学費の出世払い制度」だ。収入が低ければ返済月額が少なくなるので、一見、負担減になるように見える。しかし払う総額は変わらないため、返済の期間は長くなっていく。