すでに所得連動返還型を導入しているイギリスでは、返済義務が発生してから30年経つと、たとえ返済額が残っていても返済免除となる。所得連動返還型は、低所得者が多い場合には、未返還が生じる可能性が高い。そのためデフォルト(債務不履行)をあらかじめ見込んだ制度設計となっているのだ。

一方、日本では学生支援機構が金融事業として位置づけられ、100%に近い回収率を目指しており、返済の免除には不寛容だ。今後、デフォルトを想定した債務の消滅期限について議論を尽くす必要があるだろう。

将来的に所得連動返還が整備されれば、入学前や在学中の現金納付が最小限となるため、学費負担が軽減されるように見える。私が懸念しているのは、その結果、受験生や保護者の学費への関心が下がることだ。少子化で経営がきびしくなる大学が、学費を上げるきっかけになってはならないと考える。

久米忠史(くめ・ただし)
奨学金アドバイザー
1968年、和歌山県生まれ。まなびシード代表取締役。進学費用対策HP「奨学金なるほど!相談所」を運営する。著書に『最新版 奨学金 借りる? 借りない? 見極めガイド』(合同出版)など。
▼編集部おすすめの関連記事
頭がいい子の家は「ピザの食べ方」が違う
(構成=鈴木 工)