「メタボ解消」のためにはどんな運動が効果的なのか。10万部突破のベストセラー『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)の著者・奥田昌子医師は、ジョギングのような「有酸素運動」と、筋トレなどの「無酸素運動」を組み合わせることが効果的だという。一体どちらを優先すればいいのか。内臓脂肪を狙い撃ちする「最強の運動法」とは――。
有酸素運動の長距離走ほどではないが、無酸素運動の重量挙でもインスリン感受性は高まる。(図版提供=幻冬舎 資料:「トレーニングの生化学」押田芳治『科学と生物』vol.35, No.8, 1997 イラストレーション=坂木浩子)

筋肉量が多いほどインスリンが効く

有酸素運動とならんで、おなかに効くといわれているのが無酸素運動、別名レジスタンス運動です。大きな負荷をかけて瞬間的に力を入れるダンベル体操やスクワット、腕立て伏せ、腹筋運動などを繰り返すトレーニングのことで、この無酸素運動もインスリンの効き目を高めます。

有酸素運動のプロといえる長距離走の選手と、無酸素運動代表の重量あげの選手、そして運動をしていないグループを比較すると、インスリンの効き目がもっともよかったのが長距離走の選手で、それにはおよばないものの、重量あげの選手もインスリンの効き目が上がっていました(図1)。

インスリンの効き目がよければ膵臓(すいぞう)から余分なインスリンが分泌されずにすむため、高血圧や糖尿病など生活習慣病はもちろん、各種がんや認知症などさまざまな病気の予防につながります。これまで運動してこなかった人も心配ありません。たとえ軽い運動であっても、続けることができればインスリンの効き目は高まります。

筋トレ後48時間は内臓脂肪が燃え続ける

血液中のブドウ糖は細胞に入ってエネルギー源になり、あまった分がグリコーゲンの形で肝臓と筋肉に貯蔵されます。このとき全体の80パーセント前後が筋肉に入るので、筋肉の量が多ければ、それだけたくさんブドウ糖が取り込まれます。これによってインスリンが働きやすくなるため、筋肉が多いほどインスリンの効き目がよくなるのです。筋肉の量が10パーセント増えるごとに、インスリンの効き目が11パーセント上がるというデータもあります。