婚姻費用がやっかいなのは、離婚が長引けば長引くほど、受け取るほうがオイシイ思いをすることだ。そのために裁判では(妻が間男と浮気をして勝手に出ていったのだとしても)「離婚はしたくない」という主張をして、引き伸ばしにかかる。

慰謝料も何とかしたいから、妻は夫が極悪非道の鬼畜男だった体にして「日常的に暴力を振るわれていた」「毎日罵声を浴びせられた」などと並べ立て「離婚原因はあちら側にある!」と展開する。証明はできないのだが、言ったもん勝ちだ。

そんなひどい夫ならさっさと離婚すればいいのに、婚姻費用を取り続けるために「それでも離婚はしたくない。やり直して夫婦関係を続けたい」と、頓珍漢な主張をするのだ。これは離婚裁判におけるテンプレともいえる基本戦術で、大抵の弁護士なら知っている。もはや“様式美”と言ってもいい。

結局、離婚成立までにどれくらいかかるのか。要は裁判所が裁定を下すか、相手が納得して離婚届に判子を押せばいいわけだ。フルに戦って高裁(2審)まで争えば、ゴネてる側に離婚の原因があったとしても5年、子どもがいれば10年くらいは軽くかかってしまう。

これを早めるには5~10年分の婚姻費用(+慰謝料・財産分与)を提示して、和解に持ち込むしかない。星の数ほどもある判例から落としどころは見えているので、裁判官も弁護士も双方をそこに誘導しようとする。

多くのサラリーマンは全財産を軽く超える金額になるが、長引かせても奪われる金額は変わらないのだから、払うしかない。

稼ぎがあるなら、事実婚で不都合なし

ここまででおわかりいただけたと思うが、離婚はどちらがその原因をつくったかに関係なく、稼いでいるほうが圧倒的に損をする理不尽な制度になっている。

事実、私の知人にも付き合っているときはラブラブだったのに結婚した途端に相手の態度が豹変し、離婚裁判を起こさざるをえなくなり、ほとんど身ぐるみを剥がされてしまった高所得者が何人もいる。

それでも男性は好きな彼女に「結婚してくれなきゃ別れる」と言われれば、結婚カードを切らざるをえない場合もあるかもしれない。だが、稼げる女性にとっては、もはや収入の少ない男と結婚する合理性はまるでない。