本当は怖い「別居」10年で払う費用は数千万
子どもがいない場合は双方の基礎収入(額面の収入から税金や必要経費を引いた金額)を合算して2で割った額が双方の婚姻費用となり、稼いでいるほうが不足分を支払う。妻が専業主婦なら夫の基礎収入の半分は持っていかれることになる。
そしてここがポイントだが、この婚姻費用は正式に離婚が成立するまで払い続けなければならない。妻が不貞を働いて一方的に家を飛び出していったとしても、である。さらに恐ろしいことに、離婚裁判というのは5年から下手をすれば10年くらいは長引かせることができてしまう。あなたはその間、ずっと婚姻費用を払い続けなければならないのだ。
夫がフーテンなら婚姻費用などそもそも発生しないし、してもバックレることができる。だが、きちんとした企業に勤務している正社員であれば、給与は相手方弁護士に簡単に差し押さえられてしまう。
別居が始まった時点で、あなたはもう婚姻費用から逃れられない。
公式に当てはめて決まる婚姻費用
婚姻費用は別居直前までの生活水準を、双方が維持できるようにするもの。夫婦の収入が同額でない限りは、稼ぎの多いほうから少ないほうへ支払いが発生する(子どもの養育費は、同居する側の婚姻費用に按分される)。
婚姻費用を算出するベースとなる基礎収入は、額面収入から税金や必要経費を引いて残るお金だが、サラリーマンか自営業者かで違ってくる。また、子どもの養育費も14歳以下と15歳以上で係数が変わる。
昔は、実際にかかる額を裁判所が個別に調査して認定していたのだが、当然それに対して争いが起こって審理の長期化を招いていたので、あるときから一律の公式に当てはめて決める方法に改善された。
その結果、今ではネットで各条件を入力すれば、自分が月々いくらの婚姻費用を支払うことになるのかが簡単にわかるようになっている。