1180機のドローンによる編隊飛行ショー
そんな思いを新たにしたのが2017年12月上旬に中国南部最大の都市、広州市を訪れたときだ。米フォーチュン誌が広州で開催した国際会議「フォーチュン・グローバル・フォーラム」に参加し、フィナーレのイベントに圧倒された。1180機のドローンによる編隊飛行ショーが夜空を彩ったのである。
1000機以上のドローン編隊飛行はギネス世界記録にもなっており、中国産ドローン技術の結晶でもある。ライトアップされた広州タワーを背景に無数のドローンが整然と飛行し、夜空に光のイルミネーションをつくり出した。そこに現れた文字は「アイラブ広州」だった。
フォーチュン・グローバル・フォーラムには米アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クックや中国テンセント会長のポニー・マーをはじめ、世界のイノベーションをけん引するリーダーが多数集まっていた。高島は「広州は福岡の姉妹都市なんですが、イノベーションのスピードを見ると脅威を感じる」と話す。
リバブルと食文化では、すでにシアトルに匹敵
福岡は数十年前のシアトルのポジションにあるとは言えないだろうか? 高島の回答はこうだ。
「シアトルのどの部分を切り取るかによりますね。スタートアップを見ればユニコーンは出ていない。そういう意味では、登らなければならない山があるとすれば、今のところ裾野付近にいるだけ。ただし、リバブルとか食文化とかという面ではすでにシアトルに匹敵しています」
ここに出てくる「ユニコーン」とは、時価で評価した企業価値が10億ドル(1ドル=110円で1100億円)以上のスタートアップのことを指す。IPO(新規株式公開)を行えば、少なくとも株式時価総額が10億ドル以上になるスタートアップと考えてもいい。
世界のスタートアップを見ると、アメリカが圧倒的存在だ。米調査会社CBインサイツが調べたところによると、2017年9月時点のユニコーンは全世界で204社(合計企業価値は7450億ドル)存在する。このうちざっと半分がアメリカ企業で、最大は配車サービスのウーバー・テクノロジーズだ。
ただし、中国企業が急ピッチで追い上げている。非アメリカ企業のうち実に半分以上は中国企業(55社)である。最大は配車サービスで中国市場を独占している滴滴出行。中国企業に続いてインド企業、イギリス企業、ドイツ企業の順番でユニコーンが多い。