論理的に話をすること――これは世界共通のビジネスルールです。いくら英語がうまくても、論理的に話ができなければビジネス上のコミュニケーションは成立しません。それは、日本人同士の日本語での会話でも同じです。

「昨日の件、どうなったの?」と聞かれたら、「まだ決まってません。なぜならば……」と結論から話すだけで伝わり方は格段に違います。そのように話すためには、物事を「構造化」して捉えることが重要なのです。

[原則3]「イメージ」で伝える

あなたが初めて出張に行った土地で目的地にたどり着けず、そこにいた人に道を聞いたとします。

「この道をまっすぐ行って、3つ目の信号を右に曲がってください。そこには、コンビニがあるのでわかると思います。そして、そこからまっすぐ行って、2つ目の信号を過ぎて、3本目の路地を左に曲がってください。その先に小さな薬局があるので、そこを右に曲がって30メートルほど歩くと目的地に着きます」

このように口頭で説明されて、たどり着く自信はありますか?

一方で、もし地図を書いてもらったらどうでしょう? 目的地に着く可能性は格段に上がるはずです。

私は、メンバーと会話するときには極力、紙に図や表、グラフ、絵を描いてコミュニケーションするようにしています。これはもともと、海外のメンバーと仕事をするときに、こちらが英語で話しても伝わらない、相手が日本語で話してきても正しく理解できないという状況の中、紙に図を書きながらコミュニケーションすると格段に伝わりやすくなるという経験をしてきたことがきっかけでした。

また、私は上司から「簡単な図に整理できないかな?」と頼まれることが多くあります。仕事ができる人ほど、コミュニケーションにおける「イメージ」の大切さをわかっているのだと思います。

人は、耳で聞いたり、目で読んだりした文字の情報を頭の中でイメージに変換しています。簡単な日常会話ではあまり実感しませんが、仕事でちょっと難しい話をしている場面を想像してみてください。

聞き手が黙って上を見上げるか、目を閉じて考え込んでいる姿が浮かび上がってきませんか? それが頭の中で情報をイメージに変換している瞬間です。

文字や口頭で伝えられた情報を、頭の中でイメージに変換する。このプロセスで誤変換が生じてしまい、コミュニケーションミスの原因になります。ミスを回避するためには、最初からイメージで伝えればいいのです。