給与明細の「ヘンな手当」に騙されるな!

就業規則や雇用契約書に「俸給に残業代を含む」旨の記載があったとしても、基本給の額と残業代の額が明確に判別できないのであれば、残業代は支払われていないことになる、というのが最高裁の判断だ。未払い残業代の時効は2年、すなわち過去2年分を請求できるから、金額は小さくない。

残業代の支払いが適正かどうかを知るには、まず自分の基本給と手当の額、就業規則などの残業代の規定を確認し、それに基づいて算出した金額と、実際の支給分に差額があれば、未払い分がある可能性が高い。疑わしければ、無料の法律相談や、着手金無料の法律事務所も多いので、相談してみるといい。

▼会社が「残業代だ」と主張した「ヘンな手当」実例集
・営業手当(不動産):会社側が営業成績に応じてカットを考えていたフシ→「むしろ営業活動に伴う経費の補充ないし一種のインセンティブとして支給されていたもの」→残業代ではない!


・成果給(ホテル):「時間外手当とは性格が違う」「基本給がほぼ最低賃金に合わせて設定され、よほど長時間残業をしないと成果給を超える残業代が発生しない」etc→残業代ではない!
・職務手当(ホテル):「95時間残業分の金額(会社)」→45時間超分は残業代ではない!「一般的に80時間を超える残業は過労死基準に該当するため、そんな長時間の残業を念頭に置いた残業手当は許さないという趣旨と思われる」(住川氏)
・精勤手当(IT系):「年齢・勤続年数・業績等により変動していた」「精勤手当を超える分の残業代を支払うという合意や取扱いが過去に存在しない」→残業代ではない!
住川佳祐
弁護士
QUEST法律事務所 代表弁護士。1988年、大阪府生まれ。2013年東京大学法学部卒業、15年中央大学法科大学院修了。16年弁護士登録。17年QUEST法律事務所開設。専門は残業代請求。
(構成=高橋盛男 撮影=石橋素幸 写真=AFLO)
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