就業規則を放置すると、未払い残業代が発生

多様な働き方を促進する動きが広がっている。「週4日勤務」「在宅勤務」「勤務間インターバル制」など、新しい勤務制度を採用する企業も多い。

写真=iStock.com/Steve Debenport

しかし、就業規則を変更せずに放置している企業もある。特定社会保険労務士の大槻智之氏は次のように語る。

「いま新しい制度を導入する会社は、労務に関して“意識高い系”で、制度導入と同時に就業規則も変更しているでしょう。ただ、法令が整備される前から柔軟な働き方を事実上認めてきた会社の中には、就業規則が手つかずのままのところもある」

就業規則が手つかずのままだと何がいけないのか。佐川急便やファーストリテイリングが導入して注目された「週4日勤務」で考えてみよう。

毎日2時間分は割増賃金が発生

週4日勤務は、従来の週5日勤務の1日分の労働時間を他の4日に振り分ける場合と、単純に勤務日を1日減らして給与も減らす場合がある。前者の場合で、週40時間=1日8時間×5日を1日10時間×4日に変更したとする。

法定労働時間は1日8時間。それを超える時間を所定労働時間にするなら、「変形労働時間制」の導入を就業規則に明記する必要がある。

「明記しなければ、所定労働時間は1日8時間のまま。1日10時間働けば2時間は残業扱いです。1週間の労働時間が同じで配分を変えただけなのに、毎日2時間分は割増賃金が発生します」