会社側は就業規則を直す必要がある
在宅勤務も要注意だ。始業や就業、休憩時間の確認が難しく、社員の自己申告どおりに賃金を支払うと、実態とかけ離れるケースもある。それを避けるには「事業場外みなし労働時間制」を採用して、在宅勤務日は一定時間働いたとみなす旨を就業規則に書いておくのも1つの手だ。
週4日勤務にしろ在宅勤務にしろ、リスクが表面化するのは社員の退職時だ。
「自分から制度を選んで利用しているときは、文句を言いません。しかし、退職時には豹変して、会社から搾り取れるものは搾り取ろうと就業規則を読み込んでアラを探す社員も中にはいる。あとでつけこまれないように就業規則を鉄壁にしておいたほうがいい」
実態が伴わない「改革」は危険
また終業後、一定時間を経ないと次の勤務に入れない「勤務間インターバル制」については、別の角度から就業規則の変更が必要だ。就業規則で明確に出社を禁止しておかないと、自主的に出社する社員が出てきて制度が形骸化してしまうからだ。
ただ、就業規則で禁止すれば万事うまくいくと考えるのも危険だ。現場の仕事量が減らないかぎり、やはりこっそり出社する社員は現れる。
「就業規則と実態に差がある場合、困るのは労基署に突っ込まれる会社側です。勤務間インターバル制など長時間労働を是正する制度を導入するときは、業務を見直したり人員を増やすなどして、掛け声倒れに終わらないように工夫をしてください」
(答えていただいた人=特定社会保険労務士 大槻智之 図版作成=大橋昭一 写真=iStock.com)