「平成」を商品・サービス名にして独占的に使う

天皇陛下の退位が2019年4月30日に決まった。翌5月1日には皇太子殿下が天皇に即位して、新元号へと改元される。まさに歴史的イベントだが、譲位をビジネス目線で捉えている人たちもいる。改元に伴い、「平成」の商標登録が可能になるからだ。

小渕恵三官房長官(当時)が元号「平成」を発表する様子(1989年1月)。この改元では「昭和」が商標登録可能となった。(時事通信フォト=写真)

現在、「平成」を商標登録して商品やサービスの名前として独占的に使うことはできない。商標法3条1項6号は、「その他何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標」は登録できないと定めている。この規定にどんな名称が該当するのか。特許庁「商標審査基準」は、例の1つに「現元号として認識される商標」をあげている。つまり現元号の「平成」は商標登録できないということだ。

ただ、登録できないのは現元号だけ。過去の元号「昭和」や「大正」が商標登録可能であるように、新元号に改元されれば「平成」も登録可能になる。「平成」を商品やサービスの名称として独占的に使いたかった事業者にとって、改元は待ちに待った解禁日になるわけだ。

ここで疑問を抱く人もいるに違いない。世の中にはすでに「平成」を名称に含む商品やサービスなどが存在している。たとえば「平成建設」という社名で活動している企業もある。これはなぜだろうか。桑野雄一郎弁護士は次のように解説する。

「そもそも会社名を商標登録していないようです。商標として登録しなくても、他の人が登録して権利を主張しなければ、自由に名称を使えます」

実際、「平成建設」は全国に数十社ある。商標登録ができないゆえに、かえって広く使われているようだ。