「電子辞書の代わりに何を売ろうか」
――今回の英会話学習機は社会人向けですね。社会人向けの電子辞書は落ち込んでいるのですか?
【大島氏】社会人市場はスマホにどんどん取られています。かつては「社会人が電子辞書を買う」というブームもありましたが、すっかり様変わりしました。そこで、「電子辞書の代わりに何を売ろうか」と考えて、開発したのが、英会話学習機です。電子辞書を手元に置かなくてはいけない社会人は減ったのかも知れませんが、英語を勉強しなくてはならない人は増えているはずだからです。
――電子辞書ではなく「英会話学習機」としたポイントは、「調べる」道具から「学ぶ」道具に変化したということですね。
【大島氏】これまでの機種では、もともと電子辞書をベースに開発したこともあって、辞書としても使えるようにコンテンツを残したり、キーボードを搭載したりしていたのですが、新機種のXDR-S1では思い切ってそれらを外しました。そのため、収録コンテンツ数は120から80に減りましたが、中身は中学校の基礎英語からビジネスマンの実践英会話まで網羅し、むしろ充実しています。たとえば、これまでTOEIC600点以上を目標とするコースしかなかった教材に、あらたに500点以上を目指す初級者向けのコースを作っていただいたりもしています。
ユーザーがコンテンツを自分で集めるより絶対に安い
――多数のコンテンツを盛り込んだスマホアプリとして発売しても好評を得る気がします。なぜ「専用機」にこだわるのですか?
【大島氏】やはり、メーカーだからなんでしょうね。「まずは形で勝負しようや」という思いがある。企画の段階では、スマホアプリでいいのではという意見もありました。しかし、メーカーとして、ハードウェアで差別化しつつ中身の違いも出したい。それが「形にしたい」ということです。当社はハードウェアを自前で開発、製造し、ユーザーのニーズに応えた形が作れる。電子辞書で培ったコンテンツ資産もありますし、いろいろな出版社のコンテンツを組み合わせてプロデュースできる強みは英会話学習機でも発揮できていると思います。
また当社は毎年140万台程度の規模がある電子辞書市場での最大手です。コンテンツの「仕入れ力」には自信があります。今回の新機種は「英会話学習機」ですが、そうした電子辞書から派生しているため、ユーザーがいろいろなコンテンツを自分で集めるより、絶対にお安いですよ。