私の重点課題リストのトップにくるのは売り上げの拡大です。優秀な営業マンを採用したいのですが、どのような資質を持った人を探すべきでしょう。ジョン・チオッフィ(ニュージャージー州)
喜んでください。あなたはもう道半ばに来ています。一流のセールスパーソンはあなたや私たちや、どこにでもいる普通の人とは違うということを理解しておられるのですから。実際、彼らは特殊な人種です。
これは、どんな採用を行う際にも雇う側が探し求める資質、すなわち誠実さ、知性、前向きなエネルギー、決断力、実行力が営業マンに必要ないという意味ではありません。営業のプロには、これらに加えて他の資質も必要だと言っているにすぎません。正確に言うと次の4つの資質です。
1つ目は大きな共感力。一流の営業マンは、顧客の思いを汲み取ります。顧客のニーズやプレッシャーを察知し、顧客のビジネスの課題を理解します。彼らはたしかに会社の人間ですし、会社に利益を挙げさせたいと思っています。そのうえで彼らは、厳しい交渉のあとでも双方が実り多い交渉だったと思えるよう、会社の利益と顧客の利益のバランスをとる達人なのです。
一流の営業マンの2つ目の資質は、信頼されることで彼らの言葉は誠実で、握手には心がこもっています。彼らはあらゆる販売行為を長期的な関係の一環とみなしており、顧客も多くの場合、長期的な取引でそれに応えます。
3つ目の資質は、たくましさと勇気と自信です。飛び込みセールスは厳しい仕事です。好きな人などいないでしょう。でも、一流のセールスパーソンは売り上げを伸ばしたいと強く願っているので、休むことなく来る日も来る日も飛び込んでいく。彼らは、当然、先方から返ってくる拒絶を自分個人に対するものとは受け取らない内面的な強さを備えています。大きく吐息をつくだけで、また次に進んでいくのです。
最後に、一流のセールスパーソンは郵便配達人のような仕事の仕方を嫌います。これはなにも郵便配達人を批判しているのではありません。毎日決まったルートに沿って郵便を配達するのが彼らの仕事です。優秀な営業マンも、たしかにそれと同じようなことをしています。既存の製品を既存の顧客に売っているわけです。
しかし彼らは自分の思いを抑えることができません。彼らは新しい製品や顧客に出会う機会を求めて、わき道にそれることも好きなのです。一流のセールスパーソンは、たとえば「○○をつくることができれば、わが社はまったく新しい市場をつかめると思うのだが」などと、川下からのアイデアを持ち帰ることを自分の仕事の一部だと思っています。
その点では、一流の営業マンは、あなたとまったく同じです。売り上げの拡大が彼らの重点課題リストのトップにきているのです。ただ、あなたとは違って、彼らはそれを唯一の課題にすることができます。彼らは経営者ではありませんから、経営上の問題に気をとられる必要はないからです。
そしてその点ゆえに、優れたセールスパーソンはきわめて特殊な存在であるのです。