国がいくら笛を吹いても、労働者が踊ることはない
業種や職種によって早帰りが難しいという事情もあるが、そもそも働き方改革の一環として「自由に休んでください」と言っても、実際にはそんなに簡単ではない。住宅設備メーカーの人事担当者は会社として時期尚早だということで見送ったと語る。
「早帰りすることの意義はあると思いますが、当社の管理職がそこまでマネジメントできる能力はないでしょう。残業時間削減の取り組みはこれまでやってきて月の平均残業時間は大幅に減らすことができました。それでも定時退社日を設けて、早く帰るように働きかけていますが、なかなか定着するまでには至っていない。それに加えて3時の早帰りはハードルが高すぎる。まず定時退社を定着させてから次のステップとしてPFを考えるのはありだと思いますが」
働き方改革の根本は業務量や業務プロセスの見直しによる仕事の効率化と生産性向上にある。管理職のマネジメントを含めた業務の改善なしに早期退社を促しても、心身ともに充実した“プレミアムな生活”を過ごすことなどできない。
PFのメインテーマである消費喚起策にかこつけて「早帰りしましょう」「自由に休みましょう」といくら国が笛を吹いても、多くの労働者が踊ることはないのである。
(写真=iStock.com)