政府が進めている「働き方改革関連法案」。このなかで重要なポイントになっているのが、「同一労働同一賃金」という考え方だ。その原則は「同じ仕事には同じ賃金を支払う」というもの。法律が施行されたとき、私たちの給料はどうなるのか。人事制度に詳しい山口俊一氏は「中高年男性正社員と長時間労働者は給料が下がりそうだ」と指摘する――。

「働き方改革関連」法案がいよいよ成立か?

秋の臨時国会では「働き方改革関連法案」の審議が予定されていました。突然の衆議院解散によりスケジュールは変わりましたが、与党が勝利したことで、当初の趣旨通りの法案化が見込まれています。

厚生労働省の「労働政策審議会」は、一連の法案の要綱について答申をまとめ、ウェブサイトに掲示しています。そこには「法律案要綱のポイント」として解説も付いているのですが、かなり難解です。

▼「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の答申
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177380.html

今回の法改正で、私が働き手にとって大きな影響があると考えているのが「同一労働同一賃金」です。これは、「同じ仕事内容であれば、同じ賃金にしなさい」という考え方。同じ仕事で同じ能力・実績であるにもかかわらず、正規・非正規といった雇用形態や、男女、国籍などの要素で賃金差をつけてはいけない、ということです。

政府は「同一労働同一賃金」の導入にあたり、その目的を正社員と非正規社員の格差是正に絞っています。しかし、それだけでは不十分でしょう。本来であれば、非正規社員の待遇改善だけでなく、正社員のなかに存在している格差問題にも、手をつけるべきです。

それでは、今回の「同一労働同一賃金」で、給料が上がる人、下がる人は誰なのでしょうか。私は著書『同一労働同一賃金で、給料の上がる人・下がる人』(中央経済社)で、その予測を行っています。ここで一部を抜粋してご紹介します。