PF企画推進の経産省課長「金曜でなくてもよかった」
こうしたいきさつについて、今年11月、PFを推進する経産省の消費・流通政策課の林揚哲課長が、ソフトウェア開発会社サイボウズの青野慶久社長の質問に答える様子が、同社のサイトに掲載され話題になった。
その中で、経産省の林課長はこう発言している。
「私個人としては、それぞれの裁量で働きたい時に働いて、休みたい時に休めばよくて、金曜日じゃなくてもいいと思っています。プレミアムフライデーを企画した張本人が言うのもなんですが」
「企画の途中で『決まっていないと休みづらい』『休み方がわからない』という声があり、今回は消費活動と結びつけて曜日を提案しました。本当は自由に休めばいいと思うんですけどね」
つまり、企画発案者としては金曜日に限らず自由に休んでほしいという意図があったが、消費イベントに合わせて曜日を設定したのだという。
林課長は「業界、会社、個人、それぞれの事情に合わせて自分たちで決めてくれればいい。休み方改革も含めた働き方改革だと思っています」と発言しているが、そうした呼びかけで休みを取る企業や個人が増えるのか。やや投げやりな感じにも思える。
▼PFの失敗の原因は消費喚起策と働き方改革を一緒にしたこと
そもそもPFの失敗の最大の原因は、商品・サービス供給サイドの消費喚起策と働き方改革を一緒にしたことにあるのではないか。
PF実施の背景には、アベノミクスの「新三本の矢」の1つである「名目GDP600兆円実現」がある。つまり個人消費の増大のために行われた施策なのだ。
2016年2月の経済財政諮問会議で、アメリカで11月に行われる「ブラックフライデー」を日本でも、との声が上がったのがきっかけだ。それに経団連副会長で三越伊勢丹ホールディングス会長の石塚邦雄氏(当時)が呼応した。
石塚氏が流通・サービス業界に呼びかけて経団連内に消費拡大に向けたプロジェクトチームが設置され、経団連と経済産業省の流通政策課が中心となって消費活性化策の検討が始まった。その結果、給料日後の平均消費額が高いとされる月末金曜日のPFの実施が決まった。つまり主導したのは商品・サービスの供給側である流通・サービス業界であり、PF実施日もその都合で決まったのだ。