なぜあえて気づかないようにしているのか

他人から見れば明らかにおかしい労働環境なのにもかかわらず、働いている当人は、「ブラック方針」を妄信していることも多いもの。目を覚まさせるには、どうすればいいのでしょうか。

写真=iStock.com/FangXiaNuo

6ステップに分けて具体的に見ていきます。1つめは、「受け皿」の問題です。どういうことかというと、目を覚ますことができたとしても、その後に逃げ込める「安心できる場」がなければいけないのです。

むしろ、ブラック方針を逃れた先の精神的な受け皿や、次の勤め先という物理的な受け皿がないからこそ、怖くて辞められない、方針に従うしかない状況が生まれている。家族・同僚が精神的な支えとなるか、別のいいプロジェクトや、働き口があるか。方針がブラックなことに、あえて気づかないようにしている人を救うには、受け皿が必要なのです。

2つめに、ブラック方針を出す側との「コミュニケーションを断つ」こと。会社や上司などとの上下のコミュニケーションを妨害しないと、いつまでも冷静になれず、目を覚まさないままになってしまいます。

では、受け皿になったり、コミュニケーションを断ったりできるのは誰か。3つめが、説得する側に信頼性と専門性が必要だということ。信頼性とは、「この人は嘘をつかない」と思われる相手であることです。家族や友人、他の上司や同僚など、関係を築いている人がいいでしょう。

対して、専門性とは、知識を持ったプロ。つまりコンサルタントや、別部署、別の会社のもっと成功した人間です。ブラック方針がどうブラックなのか、否定できるだけの専門性のある人が説得すること。もし違法な労働環境なら、労働問題に詳しい識者や弁護士など、より「権威ある」情報を提供できる人に説得を依頼することも求められます。