「ご近所さん」への挨拶まわりも重要

最近では、無料のスマホ(タブレット)アプリも増えている。アクサ生命の「アーユーOK?」は家族限定のSNSのような機能があり、写真や文章のやり取りができる。GPSで親の現在地を確認できるのはもちろん、緊急事態に家族などへの連絡や消防への通報を行うサービスもある。親があまりに高齢だと、今さらスマホの操作を覚えさせるのは難しいかもしれないが、無料でここまでのサービスが利用できるのはアプリならでは。挑戦しても損はないだろう。

しかし、こういったサービスを導入すると同時にやってほしいのは、親の「ご近所さん」への挨拶まわりだ。私も母に1人暮らしをさせると決めたとき、手土産を持ってご近所に「母をよろしくお願いします」と言ってまわった。こちらの電話番号やメールアドレスがわかるよう、名刺も配ったし、できる限り相手の連絡先も控えた。

自分と同世代のお嫁さんや子どもがいる家庭を見つけたら、特に念入りに「よろしく」と言っておいたほうがいい。年齢が近ければ親近感もわくし、メールなどで気軽に連絡を取ることもできる。すると、自然な形で親の様子を教えてもらえるようになるからだ。

実際、母が急な検査入院で家を空けたときに「ご近所さん」から「お宅が真っ暗なんだけど……」と連絡をもらい、ちゃんと地域ネットワークが機能していることを実感した。「サービス」と「ご近所」の合わせ技が、「見守り」の最高の組み合わせなのだ。

▼主な見守りサービス
日本郵便:郵便局のみまもりでんわ

毎日同じ時間帯に録音メッセージによる電話があり、高齢の親がその日の体調を電話機の番号で押す仕組み。家族には毎日メールで体調が知らされる。固定電話コースは月額980円(税抜)。

象印:みまもりほっとライン i-pot
無線通信機を内蔵した「電気ポット」の使用状況を、離れて暮らす家族に1日2回メールでお知らせ。ポット自体は普通なので、お年寄りでもなじみやすい。

こころみ:つながりプラス

専属のコミュニケーターが週2回、高齢の親に電話をかけ、その内容を書き起こして家族に報告。初回に担当者が訪問して「顔見知り」になるから話しやすい。月額利用料8000円(税抜)ほか。

アクサ生命:アーユーOK?
高齢の親と家族をつなぐアプリ。親が「助けを呼ぶ」ボタンを押すと、家族や消防へ通報を行う、逆に家族の要望に応え親の安否を確認することもできる。無料(スマホが必要)。
(写真=iStock.com)
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