▼消費増税は正しいか

【阿比留】安倍首相の言う「全世代型給付」自体は賛成です。今まで高齢者に重きを置きすぎていましたから。高齢者のほうが投票率が高いからそうなってきたわけですが、ここ2年ぐらいの世論調査を見ると必ず同じ傾向なのが、安倍内閣に対する支持率というのは10代、20代が高くて、60代が低いんですよね。だったら高齢者に手厚い政策を取らなくてもいいやと転換した可能性があるなと感じます。しかし消費増税自体は一消費者としては痛いですよね。特に高い物が買えなくなります。

【望月】主要使途を借金返済から子育て支援と教育に2兆円を変更するということですが、そもそもこれは民進党が打ち出していた案であり、もともと安倍首相の狙いであった消費増税による財政健全化とは真逆の方針です。ちなみに2兆円のうち3000億円の原資については目処も立っていないのに打ち出しています。一般市民の感覚からすれば、「森友」「加計」問題や北朝鮮よりも生活や教育のほうが重要視されていると見て、選挙対策として無理やり持ち出したんだろうと感じます。

▼小池首相誕生か

【阿比留】小池百合子都知事は、都知事に当選したときが絶頂期でした。いまだ人気は高いですが、メッキが剥がれつつあります。結局豊洲移転問題では、ただ時間を引き延ばして莫大な金を無駄にしただけで、何の解決にもなっていない。また今回の国政政党「希望の党」。政党で盛り返しを図っているのでしょうが、徐々に破綻が見えてくるんじゃないかなと思っています。選挙である程度の議席は取れると思いますが、地方の選挙区は厳しい。東京以外では、大した風は起きないでしょうね

今のところ出ている希望の党の政策って反原発で改憲派で改革派で消費増税を凍結すると。全部兼ねられるような政治家がどれだけいて、それをどうやって実現するなんていうことは、まだ小池都知事自身何も考えていないんじゃないかと思いますね。小池都知事は勝負師として、勘とはったりはすごいのですが、いまだ豊洲で何も進められないということを見ると、実務能力は高くない。たとえ政権を奪ってもイニシアチブを取るのは難しいのでは。

【望月】もし、小池都知事が首相になったとしたら、記者として関東大震災の朝鮮人虐殺の追悼文送付拒否について問いたださなければいけません。反省し続けなきゃいけない歴史だと思うので、ああいうものをなくすということ自体、すごく重いことです。謝罪を続けるってある意味、日本社会が背負っていかなきゃいけないものだと思うんです。やっぱり彼女の判断には疑問符がつく。

また、希望の党が選挙で躍進した結果、右派の二大政党ができ、核武装論や憲法9条廃止も含めた議論が国政で過熱していくのではないか危惧しています。緊迫した北朝鮮情勢を抱える中で、9条改正に手をつけることに私は反対です。憲法9条は、日本のみならず世界が目指すべき理想として、憲法に掲げ続けるべきだと思います。

※インタビューは2人別々に実施し、テーマごとに発言を分けて記事を構成しました。対談ではありません。

(構成=鈴木聖也 撮影=村上庄吾(阿比留氏)、横溝浩孝(望月氏))
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