北朝鮮への制裁効果を吟味している間に……
窮地に立たされていた安倍晋三首相が決断を迫られている。複数のメディアが「9月28日の臨時国会召集後すぐに衆院を解散する方針」と報じるなど、年内解散・総選挙に現実味が帯びてきた。10月下旬の投開票が有力だという。
一方で各メディアは「選挙の大義がない」と手厳しい。批判を浴びながらも解散に踏み切る背景には、北朝鮮情勢、加計学園問題、野党再編などを鑑みて「どうしてもこのタイミングでなくてはいけない」という安倍首相の身勝手な自己都合が見え隠れしている。
拉致問題への取り組みで保守政治家としての地位を固めた安倍首相だが、対北朝鮮政策で厳しい局面にいる。長距離弾道ミサイルの発射や核実験を繰り返す北朝鮮は「核保有国」として対等な立場での対米交渉を要求している。
これまで「対話と圧力」路線で核・ミサイル・拉致問題の解決を目指してきた日本は「交渉材料」を持っておらず、その存在感は希薄だ。ある外務省幹部は「米国についていくしかない状況」と苦しい胸の内を語る。
そんな中、米トランプ大統領は「北朝鮮への軍事行動も選択肢に含まれる」と明言した。これ以上北朝鮮情勢が複雑化すれば解散どころではなくなる。この問題を傍観するしかない安倍首相は「9月に入り新しく科した制裁の効果を検証する間に解散するしかない」と考えているのだという。