身勝手極まりない妻の人間性を変えるのは無理

ただ、心療内科の医師に「本人を1人にしておくと危険です。できるだけ家族がそばにいるように」と言われるほど心理状態が弱くなっている娘が、このまま誰とも口をきかず、自室に引きこもって完全な不登校の状態になってしまう事態は回避しなければなりません。学校に通えなくなれば、卒業も進学もあきらめなければならないのです。

写真はイメージです

母と娘との確執を含め、家庭内不和の原因は、長年の積み重ねの結果です。特に、家事を放棄するなど身勝手極まりない妻の人間性を根幹から変えることは難しいでしょう。達也さんは妻と娘の関係を修復することはあきらめているようでした。

私は達也さんに対して「娘さんが前向きな気持ちで学校へ通えるよう、妻と娘さんを一時的に“隔離”するのはいかがでしょうか」と、家庭内別居を提案しました。

完全に別居してしまう方法もありますが、妻を一時的にでも家から追い出した場合、娘さんはどう思うでしょうか。「私のせいでママがいなくなった」と自分を責めるでしょうし、母親不在の責任を感じて、精神的にますます不安定になるでしょう。むしろ逆効果になる恐れがあります。

▼母娘が直接話さなくてすむ「家庭内別居」

私が提案した「家庭内別居」とは、母娘が直接話さずに済むような方法です。例えば、事前に2人の行動パターンを把握しておき、ともに自宅にいる時間帯ではすれ違わないようリビングや洗面所、お風呂などに滞在する時間をずらす。相手にどうしても頼みたい・聞きたいことがある場合には、直接話すのではなく、必ず達也さんを間に入れるようにします。

家のなかで娘と妻が接点を持たないような工夫なのですが、妻からは不評でした。

「すぐそこにいるんだから直接言えばいいじゃない!」

妻が娘に何かを伝えたい場合、妻⇒達也さん⇒娘という具合に、達也さんを介さなければなりません。その手間が億劫で、そんなふうに逆上したそうです。さらに妻はプライドが高く、「私をのけ者扱いする奴(娘)は許せないわ!」と憤慨しました。