「謝れ! 謝れ! 私に謝れ!」妻は娘を罵倒した
娘を連れて帰宅すると、妻はまたしてもヒステリックな声で叫びました。それは家出の前に娘を罵倒していたときと同じでした。
「謝れ! 謝れ! 私に謝れ!」
専門学校への進学という進路は、娘と夫の2人だけで決め、母親である自分には何の相談もなかった……。自分をないがしろにした娘の態度に激怒し、「謝罪」を求めたのです。
達也さんは母娘の間に割って入りました。
「こっち(父娘)で決めてしまい悪かったけれど、しょうがなかったんだ……」
本当は、「だって、進路の相談をしようにも、昼(パート)も夜(ママ友との飲み歩き)もお前は家にいないことが多いじゃないか!」と言ってやりたいところでしたが、火に油を注ぐことは確実だったので、ぐっと堪えました。そんな腰の引けた言い方だったからか、妻はさらに勢いづきます。
▼「お前(娘)は頭がおかしい! 完全に狂っている!」
「お前たちの発言はすべて整合性がとれていないのよ! お前(娘)は頭がおかしいし、完全に狂っている! 病院に連れて行け!!」
その言動はもはやヒステリックという言葉の次元を超えたものであり、家族全員が恐怖心を抱いたそうです。なにより達也さんがショックだったのは、娘が家出という危険信号を発したにも関わらず、妻が娘に寄り添おうとしなかったことでした。
達也さんも娘の「SOS」を察知できたのは、家出があったからです。だから、娘の状態を前もって察することができなかったことについて贖罪の気持ちがありました。一方、妻はどうだったでしょうか?
娘の家出のきっかけは、妻の“暴言”です。不登校気味だった娘の進路決定を祝福せず、なじったのです。再度、娘が家を飛び出してしまうことがないように、妻は言動をあらためる必要があります。
達也さんは、せめて一時でも妻が反省し、改心し、娘への接し方を変えてくれるのではないかと期待していたのですが、娘のことを「完全に狂っている」と言い出すなどその期待はいとも簡単に砕け散りました。達也さんは裏切られ、打ちひしがれました。