10秒で覚えられる書類は見てもらえる
上司に企画書や報告書、資料などを見せるやいなや、「何が言いたいのかわからないよ」「ちょっと違うな」などと指摘され突き返される部下。あちらこちらの会社でよく見られる光景です。多くの場合、「量が多すぎる」「字が小さすぎる」「ダラダラ書いてある」ことがその要因。中身以前の問題で相手にしてもらえないわけです。
そこで上司やキーマンに取り入ろうと思ったらどうすればいいか。「A4一枚にまとめる」「フォーマット化する」――これが答えです。ノートは、その構成を検討するために利用するといいでしょう。「読み手としての上司の立場」を意識することがカギです。
では、なぜA4一枚がいいかといえば、ひと目でパッと内容を把握できるということに尽きます。人間は10秒の間に覚えられることしか脳で処理できないと心得ましょう。A4サイズなら上から下まで目を通せば一回で理解できます。読むのを後回しにされないためにも、このことはとても重要です。
A3サイズも人気がありますが、情報量が多すぎます。ひと目で全体構成を把握することが難しい。つまり、口頭で説明をしてはじめてわかってもらえる書類となってしまうのです。またA3だと物理的に場所をとるので会議のときに邪魔になったり、折り畳んで持ちあるかなければならない煩わしさがあるなど、実用上の問題もあります。
なお、A4一枚のメイン書類に、付録資料を付けるのは問題ありません。ただし、これもポイントが明確にわかること、意味のあるものだけ添付することを意識します。
次にフォーマット化。これは、そのフォーマットを見慣れた人なら、どこを見ればいいのかがすぐにわかる点が最大のメリット。組織ぐるみで統一されていれば一番いいのですが、まずあなたの書類だけでも統一してみてください。上司は「あいつの書類なら、ここだけ見ればOK」と、見る前の段階で情報を受け入れる態勢が万全になるはず。そして何より、作り手である自分にとっても一番楽な手法です。
左ページの議事録を例にフォーマット化のポイントを見ていきましょう。議事録は若手社員に任されることが多いのですが、本来は決定権のある人物がやるべき任務。なぜなら、議事録には決定事項を記さなければならないから。会議の中でも常に決定することを意識し、議論をそこへ落とし込まなければなりません。
もし議事録の作成を任されたら、「これは管理職になるための基礎訓練なのだ」と前向きに考えましょう。いい議事録が作れるようになれば「あいつは仕事ができる」「いい新入社員が来た」と周囲の評価も高まります。