“生”情報の吸収で話が面白くなる
雑談力を高めるために必要なことが3つあります。「基本的な情報」「基礎的な知識」「思考力」です。この中でも毎日の積み重ねが大切で、ノートを積極的に活用したいのが、基本的な情報です。
たとえば、取引先や上司から「アベノミクスで名目GDPを600兆円にすると言っているね」などと話しかけられたとします。何も情報を持っていなければ、「はぁ、そうですか」で終わり。ところが、現状の名目GDPが約500兆円だと知っていれば、「20%も伸ばさなければいけないわけですね」などと返すことができます。
さらに、日本は1990年代初頭から今まで、ずっと名目GDPが500兆円前後を行ったり来たりしていることを知っていれば、「2020年までに実現するのは、かなり難しそうですね」などと続けられます。
相手は「この人、経済のことを知っているな」と、感心してくれると同時に、信頼度もアップします。「こいつに話してもなにもわかっていない」と思われるのと、「こいつは話ができるやつだ」と思われるのとでは大違い。もちろん、専門家に対し、その専門領域の知識をひけらかすのはタブーですので注意が必要です。
ノートに「気づき」と「数字」を記入する
ともかく新聞をコンスタントに毎日読んで、頭に情報を入れていかないとそこまで話が広がりません。その手助けとなるのがノート。新聞を読んだら、ノートに日付を記入して、「今日の気づき」と「今日の数字」を記入します。これだけなら、新聞を全部読まなくても、気になった記事を読むだけで記入できますので気楽に始められます。
記事を探すのが面倒という人は、最低限一面のトップ記事だけからは情報を拾う、リード文だけを読んで記事を選択するなど、最初は毎日継続することを優先して、手間のかからない手法を取り入れてもいいでしょう。
また、普段から数字に興味を持っていれば、日経新聞の月曜日朝刊に掲載される景気指標と今週の市場を見るだけで、日本経済と世界の金融・株式マーケットの大まかな現状をつかめるようになります。
新聞だけでなく、取引先、上司、講演会など誰かから、「珍しい話」「知らなかった話」「気になる数字」を聞いたときにも同じようにノートにメモします。
たとえば「フライアッシュ」「ゼオライト」「モーダルシフト」などという言葉を聞いても、門外漢には何のことやらわかりません。でも、それが取引先が口にした言葉であれば、その会社の未来を左右しかねない重要な内容を含んでいるかもしれないわけです。とにかくメモしておき、あとで調べれば、自分にとっての勉強にもなります。新聞も含め、そうした生の情報を吸収している人の話は、具体的で深みがあります。とても面白いので、ついつい惹き込まれます。