話しベタで損していると思ったことはありませんか? アナウンサーみたいに上手に話せたら、毎日がもっと楽しくなるかもしれません。本職並みでなくてもちょっと工夫すれば見違えるように話し方がうまくなるもの。話しベタさんにありがちな5つの症状別(あがり症、まとまらない、口グセが出る、一本調子になる、受け身になる)に、アナウンサーの魚住りえさんが克服策を教えてくれます。
フリーアナウンサー/ボイス・スピーチデザイナー 魚住りえさん

最初から話し上手な人はいません。アナウンサーを仕事にしてきた私もそう。新人のころはとっさのコメントが出てこなくて、焦った覚えがあります。やはり訓練や場数が大事。私が実践して特に効果ありと思ったのが、「自分の声を録音する」「話し上手に学ぶ」「朗読する」の3つの方法です。

相手に話が伝わらない原因の一つが自分流の話し方。まずそれをリセットします。そのためには自分の声を録音し、チェックするのが一番。自分の声を聞くのは嫌かもしれませんが、話し上手になるためには不可欠です。次にYouTubeなどで話の上手な人の映像を繰り返し見ましょう。話す速度や声の大きさ、抑揚など、いいところをマネします。そしてもう一つ、話術を自分のものにするために朗読をおすすめします。新聞の社説や雑誌のコラムなどを題材に、どう話せば相手に伝わるかを考えながら抑揚や声音に変化をつけて読んでみるのです。

この3つの方法を実践すればもう話しベタからは卒業です。さらに、5タイプ別の症状に合わせた克服ポイントも参考にして話し上手になってください。

Type A:あがり症
症状:「人前に立つと頭が真っ白になってしまいます」

イラスト=松元まり子

このタイプはまじめできちょうめんな性格。一度うまく話せなかった経験があって、それがコンプレックスになっていることがあります。人前に立つのが苦手だから、これまでプレゼンなどをする機会があってもそのたびに断ってきたのでは。経験不足なので、オドオドとしてしまって自信がないように見られ、損をしてしまいます。本番の数日前から準備を進め、不安を減らした状態で臨むといいでしょう。

▼処方:話す前の準備を徹底しておくこと

1. 話す内容をしっかりとまとめ、リハーサルを
原稿を覚える必要はありませんが、伝えたいことを確認し、聞き手に何を感じてほしいかを考え、話にタイトルをつけておきます。そのうえで本番と同じ服や靴を身に着けてリハーサルしてみましょう。家族や友達に聞き役を頼むとなおよし。選ぶ服はウエストを締め付けすぎず、靴は履きなれたものを選び、リラックス状態を確保しましょう。

2. 数日前からカフェインは取らないように!
コーヒー、お茶、栄養ドリンクなどカフェインを含んだ飲みものは興奮状態をつくりだし、本番で緊張が増してしまいます。当日も取っていいのはお水だけ。お茶類を飲むと口の中がカラカラに乾いて、舌の動きが悪くなるため余計に焦ります。直前の食事もおにぎり1つにするなど控えめに。満腹状態だと声が出にくくなってしまいます。

3. 反応のよい聞き手を味方につける
聞き手のなかにうなずいている人を見つけたら、その人たちに交互に話しかけるようにすると落ち着けます。右、中央、左で1人ずつ決めるといいでしょう。それでも、あがって頭の中が真っ白になることもあります。そんなときは正直に「あがってしまってセリフを忘れてしまいました」と口にすると場が和み、緊張がほぐれます。