議事録作りは管理職への基礎訓練

さて、フォーマット化の第一歩となるのが書体の使い分けです。例示の議事録では、項目名は太めのゴシック体を使い、内容は明朝体を使うようフォーマット化していますので、明らかに見分けがつきます。

議事録の冒頭には、日時、場所、出席者、議題などの「概要」を記します。これは会議前に埋めておくのが鉄則です。最も重要なのは「出席者」。議題にかかる決定をするために必要なキーパーソン全員に勢ぞろいしてもらいます。ある決定にかかるたった一人の人物がいないだけでも、その会議は意味がありません。事前に記入しておくことで、漏れがないようチェックすることが可能になります。その際、上司との相談、キーパーソンとの折衝、関連他部署との調整は避けられません。じつはこれ、プロジェクトマネジャーの仕事そのものなのです。

「概要」の下には「議事内容」を記していきます。「報告」「意見」「決定・未決」「タスクリスト」を明確に分けることがポイントです。未決も一つの決定であり、ゴールをはっきりさせるための要素。何も進めていないのと同じことの「検討中」とは違います。

議事録で最も重要なのは、タスクリスト。「タスク」「アウトプット」「納期」「責任者」を明示します。アウトプットは必ず目に見える、形ある“物”とします。これを「マーケティング調査をする」とだけ記しておくと、期限になっても「集計していません」となりかねません。ですから「マーケティング調査の報告書」とする必要があるのです。また、物を提出するのですから、その期限は“納期”と表現します。

タスクリストはホワイトボードに書き出し、全員の確認をとりながら決定する。

問題となりがちなのが責任者を明記すること。ダメな会社ほど、責任者を明記することに拒否反応を示す傾向があります。一つのタスクについて必ず一人の責任者を記します。

こうした議事録を作ることができれば、たとえば会議に参加していないさらなる上役も、議事録を見て「問題なく回っているな」と、信頼してくれます。逆に議事録が誰にも読まれないようなものだと、結局、議論した内容が共有されず、あやふやなままになってしまいます。会議そのものが無意味なものになりかねません。会議の最終目的は、議事録を作って「これが決まった」と関係者が確認することです。

こうした議事録に限らず、上司に提出する書類を作る際は、上から目線で作ること。あなたの上司はその上の上司から何を言われるかを常に気にしています。「二段上から目線」の書類作りが成功へと導きます。