世界最大のハンバーガーチェーン「マクドナルド」を築き上げたレイ・クロック。彼のビジネス手法は多くの企業人に影響を与えている。なかでも、ファーストリテイリングの柳井正社長とソフトバンクグループの孫正義社長は、彼の自伝『成功はゴミ箱の中に』(プレジデント社)を「バイブル」と評している。同書を原作にした映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』の公開(角川シネマ有楽町ほか、全国公開中)を記念して、クロックの魅力を紹介しよう――。

若き日に「金言」を手帳に書いた柳井氏

ファーストリテイリングの柳井正社長とソフトバンクグループの孫正義社長(2006年11月撮影)。2人の特別対談は『成功はゴミ箱の中に』(プレジデント社)に収録されている。

映画『ファウンダー』の主人公で、世界最大のハンバーガーチェーン「マクドナルド」の実質的創業者であるレイ・クロック(1902年-1984年)は、セールスマンから大富豪となった“アメリカンドリーム”の体現者です。そんな彼を、日本を代表する経営者の孫正義氏(ソフトバンクグループ社長兼会長)と柳井正氏(ファーストリテイリング社長兼会長)は敬意を持って見つめます。

特に柳井氏は「ユニクロ」を起業する前に、クロックの言葉に強い影響を受けました。映画の原作となったレイ・クロックの自伝『成功はゴミ箱の中に』に収録された孫正義氏との対談で、柳井氏はこう明かしています。

「レイ・クロックのことを知ったのは1冊の本(『マクドナルド――わが豊穣の人材』ジョン・F・ラブ著)からです。大学を出て、宇部に戻り、父親が設立した衣料品の会社に勤めていた頃でした。本のなかにレイ・クロックの印象的な言葉が載っていて……。
「Be daring(勇気を持って)、 Be first(誰よりも先に)、 Be different(人と違ったことをする)」
これこそ商売の真髄だと思って、手帳に書き写したのを覚えています。
(『成功はゴミ箱の中に』特別対談より)

その後、柳井氏は、1984年にカジュアルウエア「ユニクロ」の第1号店を広島県広島市に出店します。さらに東京に積極出店して、日本を代表するカジュアル衣料チェーン店に育て上げたのはご存じのとおりです。事業活動を見ると、この言葉を実践しているのがわかります。柳井氏は「レイ・クロックは私にとって恩人といえる」と話しているほどです。