「少子化対策」になにが必要か

震災を経験した南相馬市の若い世代、いわゆる「ミレニアル世代」は、安心できる環境があれば子供をもうけたいと考えているようです。その背景には、家族をつくることが社会保障につながる、という考え方もあるようです。世代をこえた「同居」や「近居」も増えています。家族や地域で助け合う。そんな一昔前であれば当たり前だった考え方に、あらためて注目が集まっているようです。

いま日本全国で「少子化」が問題になっています。南相馬市の経験からいえることは、若い世代は「産みたくない」わけではないということです。むしろ「産みたいけど、産めない」と考えている人が少なくありません。周囲がやるべきことは、「産みたくなる『安心スイッチ』をいかに入れるか」だと思います。

産みやすい環境作り → 育てやすい環境作り → 働きやすい環境作り

という三位一体で考えることが重要ではないでしょうか。どれかひとつが欠けても、このサイクルはうまくいきません。南相馬市でできたことは、ほかの自治体でもできるのではないかと思います。

被災地の正しい情報に理解を

これまで南相馬市に住む私たちは、全国からたくさんの応援をいただいてきました。そうした応援に応えるため、地域の今の姿を、正しく皆さんにお知らせできればと考えました。いまでも不正確な情報をもとに、一部の地域で避難者への偏見、誤解、いじめがあります。ひとりでも多くの方に、被災地の正しい情報を知っていただきたいと思います。

よつば保育園:福島県南相馬市原町区西町にある私立認可保育園。1989年設立。震災前に約200人いた園児は、震災後20人ほどにまで減ったが、現在は約250人にまで回復。2011年に3歳未満児専用の新しい施設を追加。職員数は約50人。
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