若い世代の定住化の促進と少子化の歯止めを、積極的に推進する東京都奥多摩町。“家がタダ”で、“子育て支援も充実”のすごい制度とは――。
土地付き住宅を無償で譲与
都心から離れたとしても広い庭付きの家に引っ越したいと思っている人たちが多いはず。そんな家族に向けて東京都奥多摩町が、15年間以上住み続ければ、土地付き住宅を無償で譲与する「若者定住応援住宅」の取り組みを進めている。
東京の奥座敷とも呼ばれ、水と緑に恵まれた同町だが、過疎化の進展は深刻だ。現在の人口は約5300人で、1960年代から右肩下がりが続いている。人口減少率は都内で最も高く、高齢化比率が48%を超え、約2人に1人が65歳以上なのだ。
「現行の長期総合計画に奥多摩創造プロジェクト事業を盛り込み、最優先課題として若い世代の定住化の促進と少子化の歯止めを積極的に推進してきました。持ち主からの寄付を受けて町が所有する空き家を提供していく若者定住応援住宅もその一環として位置付けられています」
こう話すのは若者定住化対策室の新島和貴室長。2016年4月の新部署発足を機に、この問題に正面から向き合っている。
町ではJR青梅線の終点である奥多摩から白丸、鳩ノ巣、古里、川井までの5駅の周辺を「若者定住促進ゾーン」に指定。都内などから移住しても、都心まで片道2時間強での通勤が可能になるように配慮した。
応募できるのは、40歳以下の夫婦または50歳以下で中学生以下の子どもがいる世帯など。申込者のなかから、年齢や家族構成を審査したうえ、面談も交えて選考する。いうまでもなく、未就学児が複数いる若い夫婦は有利だ。
使用料は15年間の土地と建物の固定資産税評価相当額の2分の1を月割りしたもので、毎月1万円程度になる。ただし、改修費用として最大200万円が助成され、15年たつと定住祝い金50万円の支給とともに土地と建物を譲与される。その結果、実質的に無償で住むことができる。