魚や植物性の脂質に置き換えたほうがいい

ところが90年代に入ると、科学者たちは次々と不健康な油だと報告し始めます。2006年、米国では加工食品の栄養成分表示に、飽和脂肪酸とコレステロールに加えトランス脂肪酸量の表示が義務づけられました。そしてついに、米食品医薬品局(FDA)は、トランス脂肪酸の食品への使用について18年以降原則禁止とすることを発表しました。

日本では、今のところトランス脂肪酸の表示義務も含有量の規制もありません。

しかし、メーカーによってはマーガリンに含まれるトランス脂肪酸をかつての10分の1に減らすなどの努力をし、含有量も公表しています。こうした動きを一部のこととするのではなく、せめて表示義務だけでも実現し、政府および企業は消費者への情報提供を積極的に行ってほしいところです。

話がマーガリンの負の要素ばかりに流れましたが、バターもいまだ問題を抱えています。バターやラードなど、肉類や乳製品の動物性の脂質を、魚や植物性の脂質に置き換えることは、より健康上の利益があると多くの科学者は報告しています。

 
大西睦子
内科医師・医学博士。東京女子医科大卒業。国立がんセンター、東京大学を経て、2007年から13年まで、米国ハーバード大学リサーチフェローとして、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度受賞。著書に『健康でいたければ「それ」は食べるな』『カロリーゼロにだまされるな』など。
(小澤啓司=構成)
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