下手な英語でも一生懸命に話すから伝わる

三宅義和・イーオン社長

科学技術の発展に伴い、いろいろ便利なものが世の中に登場してきました。Google翻訳などの翻訳ソフトは急速に性能を向上させています。スマートフォンにそうした翻訳ソフトをいれておけば、「自動翻訳機」として使うこともできます。翻訳ソフトの性能向上は、非常に好ましいことであって、生活が便利になるわけですから否定する必要は全くありません。ただし、それですべての問題が解決することはありえない。要は、使い方次第です。

例えば、グローバル化した大企業における英語での経営会議を想像してみてください。おそらく、自分がプレゼンテーションをしている最中であっても、何か疑問や反対意見があれば、相手は質問や異議を差しはさんでくるでしょう。そんなときは、何はともあれ自分の口で切り返さなければ負け。自動翻訳機を使っているヒマはありません。

イーオンで学ぶビジネスマンたちに話を聞くと、「仕事の現場では専門分野をきちんと理解しているから英語でも大丈夫です」と答えます。ところが「ビジネスが終わって、その後の懇親会や食事会のときに何をしゃべっていいかわかりません。コミュニケーションが取りづらい」と、困った顔で言います。

とはいえ、そうした場所に自動翻訳機を持って行くわけにはいきません。今後、その機能が飛躍的に向上し、自分が話した日本語がリアルタイムで英語に訳されたとしても、私はやはり自分の声で英語をしゃべりたいと思います。下手な英語でも一生懸命に話すからこそ、相手も心を開いて、実のある会話ができると考えています。