その中で重視するものの一つに、釈迦の六方拝に基づく「六方思考」があります。

人は、とかく自分を軸にものを考えがちです。「自分がいて家族がいる」「自分がいてお客様がいる」「自分がいて上司がいる」……という具合に、自己中心的な捉え方をします。これを一方思考と呼びます。

六方思考では、これを逆転させます。「家族がいて、自分がある」「お客様がいて、自分がある」「上司がいて、自分がある」……釈迦の六方拝は、人は周りに生かされているのだから、そのことに感謝し、東西南北と天地の六方に拝礼しなさいという教えです。

実は、他者への感謝、誰かのためにという気持ちは、持っている以上の力をその人に発揮させます。これこそが「最強思考型」であり、「上昇思考型」の人にしばしば欠けているのがまさにこの感謝・愛情なのです。成功者と呼ばれても妻子と心が離れていたりすれば、それは満足できる人生とは言えません。

世の成功者が100人に1人だとすれば、その人たちに共通するのが六方思考。すなわち、周りの人それぞれの立場から自分を捉えて、どう対処するかを考えられる多重思考なのです。

優秀なスポーツ選手が、競技後のインタビューなどで「応援してくださる皆様に感謝します」というのをよく耳にします。あれはリップサービスなどではなく、感謝の気持ちが、自分の頑張りを支える力になることを実感しているがゆえの言葉です。

ブレイントレーニングでは、六方思考を養うために「感謝のネットワーク」というシートを使ったワーキングを行います(図2)。自分をとり囲む6つの欄に「家族」「友人・知人」「上司」など周りの人の集団名を入れ「どう感謝しているか」を記入します。

次いで「その人たちに喜んでもらうために何をするか」も記します。感謝の気持ちは、脳を「快」状態にします。「喜んでもらうために何をするか」は、プラス思考で生み出された行動目標。このワーキングをするだけでも、他者に向けるまなざしや態度が変わります。

この思考法をさらに発展させた、毎朝5分、“拝み、感謝する”イメージトレーニングがあります。要領は以下の通り。(1)毎朝、一定の方角を向いて軽く目を閉じ、胸に手を当てて楽な姿勢を取ります。(2)その日感謝する対象を一人一人イメージし、「ありがとう」と心から何回も感謝します。

これを月曜から日曜、7日のサイクルで行います。方角は月~土の各日に東・西・南・北・天・地。感謝の対象も同様に「両親・ご先祖」「家族・子ども・兄弟・親族」「恩師・上司」「顧客・同僚・友人」「太陽・大空・大気」「大地・海」。日曜日はお好きな方角を向いて全方位を意識し、「仕事・お金・愛・すべて」に感謝します。

ぜひ、試してみてください。