「人生五分五分」というのは、実は間違い。人は自分が思うよりずっと運がいい。さらに、運を支配する方法を身に付ければ、幸運の確率はどんどん高まる。その秘訣を教えよう。

オイラーが解いた「出会いの確率」

あなたはいいことが起きる確率と、悪いことが起きる確率は半々だと思っていないだろうか。たしかにサイコロを振って偶数の目が出るか、奇数の目が出るかは2分の1の確率だ。

しかし、人生はそれほど単純ではない。サイエンスナビゲーター(R)の桜井進さんは、「いいことが起こる確率は約63%。悪いことが起こる確率は約37%。五分五分ではなく、6対4で幸運のほうが多いのです」と言う。桜井さんがこう断言する根拠は、1708年にフランスの数学者ピエール・モンモールによって提示された「出会いの問題」にある。

〈AとBの2人がトランプのカードをエースからキングまで13枚持ち、それぞれ1枚ずつテーブルの上に同時に出していく。2人とも同じ数だった場合、「出会い」が起きたとする。それでは、13枚すべてを出し終わっても、出会いが全く起こらない確率は何%か。また、カードの枚数を増やして「n枚」にしたら、出会いの確率は変わるのか〉

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数学者オイラーが導き出した「幸運の確率」とは?

この問題は1740年ごろ、「オイラーの公式」などで有名なスイス生まれの数学者レオンハルト・オイラーによって解かれた。結論から言うと、出会いが一度も起こらない確率は約37%。一度でも出会いが起こる確率は約63%。しかもカードを130枚まで増やしても、この確率はほぼ変わらないのである。

「AとBの2人が同時に同じ数のカードを出すことを、男女の“運命の出会い”だと考えてみましょう。私たちは異性に求める条件がいくつかありますよね。性格とか顔とか収入とか。これらの条件を1つも満たさない人と出会う確率は約37%。逆に言えば、1つでも条件を満たす人と出会う確率は約63%もあるということなのです」(桜井さん)