トランプ大統領は就任演説で、旧約聖書から「ユダヤ人が最もよく用いる部分」を引用した。その行為には隠された「メッセージ」があった。
アイデンティティーの核となる信仰心
自分自身を意識・無意識にどのような存在であると思っているかというアイデンティティーは、その人物自身やその人物の行動を分析する上で極めて重要である。
さらには、リーダーシップ論におけるセルフリーダーシップ(自分自身へのリーダーシップ)、ブランド論におけるセルフブランディング(経営者や開発者自身のブランディング)においても、その人物が自分自身を何者であると思っているかというアイデンティティーは最重要ポイントである。それは、自分自身を意識・無意識にどのような存在であると思っているかが、その人物の自分自身に対するイメージ・感情・考え・行動に大きな影響を与えるからである。
このアイデンティティーのなかでも特に重要なのは、その人物が潜在意識の奥底で実際には何を本当に信じているのかという点である。それは、究極の困窮状況にあったり、無意識での反応となるようなとっさの行動が問われたりというように、真価が問われるとき、人は潜在意識の奥底で実際には何を本当に信じているのかという点によって大きく明暗が分かれるからである。
潜在意識の奥底で何を本当に信じているのかというのは、わかりやすく表現すると、信仰心とも言えるだろう。もっとも、ここで言う信仰心とは、必ずしも特定の宗教に対するものとは限らない。例えば、特定の宗教を信仰することの少ない日本人の場合、幼少のときから、「お天道様が見ている」などと両親から育てられた人は、それが信仰心と同様のレベルで、強固な価値観になるだろう。
本稿では、トランプ大統領の側近やトランプ大統領と親しい人物などからの情報をもとに、トランプのアイデンティティー分析を試みてみることにしたい。