トランプ支持者とクリントン支持者では見るメディアが異なる!?――トランプの選挙前後の戦略からSNS時代の主要メディアの在り方を考える。

トランプのメディア戦略の本質

トランプが主要メディアとの対立を先鋭化させている。もともと大統領選挙戦中から主要メディアとは対立してきたトランプではあるが、最近では主要メディアの報道をフェイクニュースであると激しく罵ったり、メディアとの定例の夕食会にも欠席したりするなど対立を深めている。

筆者は、トランプが主要メディアと対立してきているのは、実際には冷徹な政治マーケティングに基づいたストーリー戦略によるものであると考えてきた。

トランプが選挙戦中から採用してきたのは「チャレンジャー型」ストーリー。熱烈な支持者とともに「強力な敵」や「困難な障害」に立ち向かう主人公の物語である。「強力な敵」とは選挙戦中はヒラリークリントン。大統領就任後の2017年1月20日以降はイスラム過激派テロ組織。そして「困難な障害」とはトランプを強烈に批判する主要メディア。実は、トランプが過激な発言をして、主要メディアがそれに激しく批判すればするほど、コアな支持層はますますトランプ大統領を支持するようになっているのだ。

ここで、連載の前回「トランプのメディア戦略から読み解くフェイクニュースの恐ろしさ
」で述べた、政治マーケティングにおけるソーシャルメディアの重要性という文脈のなかからトランプの主要メディアとの対立を見てみると、トランプのメディア戦略がようやく理解できるようになってくる。

つまりは、トランプのメディア戦略とは、「自らのツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディア×主要メディア」という構造なのであり、前者の「自らのツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディア」はコア支持者層の支持を集める中核的部分、後者の「主要メディア」は自らのソーシャルメディアを拡散するための手段と位置付けられるのではないだろうか。

すなわち、主要メディアや主要メディアとの対立が、トランプに利用されているのである。最近の有権者は政治のニュースをソーシャルメディアで見ることが多い。そして自分が信頼する友人がソーシャルメディアでシェアしていたマスメディアのニュースには注目する。SNSがここまで影響力をもつようになったからこそのメディア戦略なのだ。