トランプ支持者層・反支持者層が見ているメディアに関する調査結果
ここでPewResearchのメディアに関する調査結果を紹介したい。2017年1月18日に発表されたもので、前年の大統領選挙期間中に有権者がどのようなメディアを見ていたのかを調査したものである。
◆全有権者を対象とした場合
1位:FOX(19%)、2位:CNN(13%)、3位:フェイスブック(8%)
◆トランプ支持者を対象とした場合
1位:FOX(40%)、2位:CNN(8%)、3位:フェイスブック(7%)
◆クリントン支持者を対象とした場合
1位:CNN(18%)、2位:MSNBC(9%)、3位:フェイスブック(8%)
※FOXは、アメリカのニュース専門放送局。1996年開局。メディア王のルパート・マードック所有のニューズ・コーポレーション(現21世紀フォックス)が、当時NBCの経営者ロジャー・アイレスを社長にして設立。
※CNNは、アメリカのケーブルテレビ向けのニュース専門放送局。1980年開局。タイムワーナーグループ傘下のターナーブロードキャスティング・システムが所有。
※MSNBCは、アメリカ向けのニュース専門放送局。1996年開局。放送ネットワークNBCとマイクロソフトが共同で設立。
上記の調査結果で注目すべき点は、トランプ支持者とクリントン支持者で見ているメディアがかなり異なること、トランプ支持者は主要メディアのなかでは数少ないトランプ擁護派であるFOXをよく見ているものの、トランプが対立を先鋭化させているCNNは2位とはいえ8%とあまり見ていないこと、そして連載の前回「トランプのメディア戦略から読み解くフェイクニュースの恐ろしさ」で、政治マーケティングの権威であり、共和党系の最有力な選挙マーケティング団体「アメリカンマジョリティー」のネッド・ライアン会長が指摘していた通り、主要メディアを押さえてのフェイスブックの重要性である。有権者全体で見ても、フェイスブックは、4位:ローカルTV、5位:NBC、MSNBC、ABCをおさえて3位となっている。
なお、今回のPewResearchの調査対象には含まれていないが、トランプ支持者層の間で存在感を増しているのが、アメリカのオンラインニュースサイトであるブライトバートだ。ブライトバートは急速に人材も拡充し、ホワイトハウスにも人材を送っている。極右メディアと見られているが、最近では記事によっては優れた論考で一般の注目を集めているものも少なくない。ホワイトハウスがウェブサイトで発表した簡単な内容を詳しく説明するような機能まで果たしている。ブライトバートについては、2017年2月11日から2月26日までの米国出張において、同社の複数の記者ともコンタクトをもつことができたこともあり、今後の連載で別途詳述していきたい。