大統領就任演説では旧約聖書を引用
トランプは、2017年1月20日の大統領就任演説のなかで、次のように旧約聖書を引用した。前後関係を理解していただくために、引用部分の前後も長くなるが続けて紹介したい。
[直接の引用部分]
聖書は「神の民が団結して生きていることができたら、どれほどすばらしいことでしょうか」と私たちに伝えています。
The Bible tells us,“how good and pleasant it is when God's people live together in unity.”
[引用部分の前後]
私たちは古い同盟関係を強化し、新たな同盟を作ります。そして、文明社会を結束させ、イスラム過激主義を地球から完全に根絶します。私たちの政治の根本にあるのは、アメリカに対する完全な忠誠心です。そして、国への忠誠心を通して、私たちはお互いに対する誠実さを再発見することになります。もし愛国心に心を開けば、偏見が生まれる余地はありません。聖書は「神の民が団結して生きていることができたら、どれほどすばらしいことでしょうか」と私たちに伝えています。私たちは心を開いて語り合い、意見が合わないことについては率直に議論をし、しかし、常に団結することを追い求めなければなりません。アメリカが団結すれば、誰も、アメリカが前に進むことを止めることはできないでしょう。そこにおそれがあってはなりません。私たちは守られ、そして守られ続けます。私たちは、すばらしい軍隊、そして、法の執行機関で働くすばらしい男性、女性に、守られています。そして最も大切なことですが、私たちは神によって守られています。(以上、NHK NEWS WEBより引用)
次に、就任演説で引用された旧約聖書の該当箇所(詩篇133編)について見てみよう。前後関係を理解していただくために、引用部分の後半を続けて紹介したい。
[直接の引用部分]
「見よ、兄弟が共に座っている。 なんという恵み、なんという喜び。」
how good and pleasant it is when God's people live together in unity.
[引用部分の後]
見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び。
かぐわしい油が頭に注がれ、ひげに滴(したた)り
衣の襟に垂れるアロンのひげに滴り
ヘルモンにおく露のように
シオンの山々に滴り落ちる。
シオンで、主は布告された
祝福と、とこしえの命を。(以上、日本聖書協会『旧約聖書 新共同訳』より引用)
旧約聖書のこの部分は、一般的にユダヤ人からはバビロンの支配から解放されたイスラエルの人々の喜びの詩と解釈されているようだ。その喜びとは、再びエルサレムの神殿で共に神を礼拝する喜びとのことである。また、この詩篇は、ユダヤ人の間では歌とともに最もよく愛読されるものの1つであるとのことだった。