個人事業主や中小企業を中心に、急速に利用する企業が増えているクラウド会計ソフト。人工知能が勘定項目を分類し、帳簿を自動作成。わずらわしい作業が自動化されることで、経理作業が大幅に軽減されるという。

クラウド会計サービス「freee」(フリー、https://www.freee.co.jp/)の佐々木大輔代表は、東京出身の36歳。開成中学・高校から一橋大学商学部へ進み、博報堂、Googleを経てfreeeを創業した。一般の会計ソフトに比べ、クラウド会計ソフトは何がメリットなのか。Googleでクラウド会計を事業化しなかった理由は? 佐々木氏と田原総一朗氏の対談、完全版を掲載します。

留学先のスウェーデンはカード社会だった

【田原】経歴を拝見しました。大学時代にスウェーデンに留学されていますね。どうしてアメリカじゃなくてスウェーデンに?

【佐々木】大学4年生のときに交換留学プログラムで行きました。スウェーデンを選んだのは、倍率が一番低かったから。受かりやすいというのもありましたが、他の人がやらないことを経験してみたいなと思いまして。

【田原】スウェーデンで何か発見はありましたか。

【佐々木】2つありました。じつはスウェーデンはクレジットカード浸透率が世界一の国。僕がいた15年前でも、支払いはほぼカード。財布を持っていると、「どうしてそんなにカッコ悪いものを持ってるの? ポケットにカード一枚入れておけばいいのに」と言われました。それを聞いてすごく合理的だなと。いま僕たちが提供している会計ソフトのサービスは、カードで支払うと経理の業務が圧倒的に早くなります。こうしたサービスを発想したのも、当時の経験があったからかもしれません。

【田原】もう一つは?

【佐々木】留学したのはEU統合の直後。それを目の当たりにしたので、何か国ってすごく小さい概念だなと思うようになりました。

【田原】帰国して、インタースコープ(現マクロミル)という会社でインターンシップをやった。

【佐々木】インターンは留学に行く前からやっていました。大学3年生のときにデータサイエンスの勉強を始めたので、実際にデータを解析する仕事をやってみたいなと。

【田原】そこは何をする会社ですか。

【佐々木】アンケート調査をしてデータを分析する会社です。たとえばクルマを買う人にどういう購入パターンがあるのかを調べたり、売り上げが伸びていない商品のコンセプトをどう変えれば伸びる可能性があるのかを調べたり。お客さんに合わせて、消費者心理をデータサイエンスで分析する仕事です。