建機の「ルンバ」化ハードルはかなり低い

従来の施工管理では、現場監督が目視で進捗状況を確認、必要に応じて測点による測量を行っていた。もし土量の見積もりを間違えば、搬出に必要なトラックは不足する。建機が効率的に動いても、土が搬出できなければ作業は止まってしまう。

対してICT建機で進捗具合が可視化されれば、「工事を端から順番に進めるのではなく、数台の建機を一気に投入できる」というわけだ。

スマートコンストラクション推進本部 四家千佳史本部長

さらにICT建機の刃先に取り付けられたセンサーの情報は、同社のクラウド上で管理されている。将来的には熟練オペレーターの作業を解析し、現場ごとに最も効率のいい掘り方や手順を事前に導き出すことも可能になるはずだ。

「ICTやドローンの活用を国が前面に打ち出したことは強い追い風」と四家さんは話す。

「建機を現場にセットすれば、あとは掃除ロボットの『ルンバ』のように、無人エリアで建機が自動的に作業を行う。近い将来、そうなるでしょう。建設現場での自動運転の実現のハードルは、公道と比べてもずっと低い。最も遅れていた業界が一回りして、最も進んだ業界になったといえるかもしれませんね」

(永井 浩、森本真哉=撮影(人物)AFLO=写真)
【関連記事】
ロボットやICT技術が野菜を育てる「スマート農業」の時代へ
ゼネコンが悲鳴! 若者離れ、人手不足に悩む建設業界の将来性
「コスト10分の1」思考ができる人 -右腕にしたい人材の条件【クボタ 益本康男元会長兼社長】
農業以外の利用も増加、ドローン市場が拡大へ
清水建設新社長 井上和幸「施工の無人化で生産力強化」